【執着兄弟の溺愛シリーズ】内緒の三つ子を出産したら、執念で見つけ出した凄腕パイロットから重たい独占愛を刻み込まれる
その日を境に私はすっかりジムにハマり、暇さえあれば足を向けるようになった。運動すると一日をやり切った気になり、頑張った自分を褒めてあげたくなり、自己肯定感が爆上がりした。
 さらに、努力が体重などの数値になって見えることで達成感を味わうこともできるようになった。
ジムに行くのはほとんど平日だ。ただし、平日は毎日仕事があるため、毎回同じような時間帯に行く。
 氷室さんとはあれから度々顔を合わせるようになった。その度に氷室さんは親し気な笑顔で話しかけてきてくれたものの、彼とは挨拶だけと決め、それ以上の言葉を交わさぬように徹底した。
 彼は相当なお人好しなのだろう。明らかな私の態度に腹を立ててもおかしくないのに、毎度懲りずに声を掛けてくる。
 あまり詳しくは知らないけれど、パイロットは不規則な生活で拘束時間が長いと聞いたことがある。国際線のフライトでは日本に戻って来てからも時差ボケなどもあるだろう。それなのに、こんなにも高頻度で会うなんて、彼は相当な体力の持ち主に違いない。
 この日も例にもれずジムには氷室さんの姿があった。
 奥歯を噛み締めてきつい筋トレに励んでいるその姿を周りにいる女性陣はうっとりとした表情で見つめている。
 私は彼から少し距離を置いた場所でいつも通りのルーティンで筋トレを行う。
「ふぅ……」
 息を大きく吐いて呼吸を意識しながら腕の筋トレを行う。いつもよりも高負荷でトレーニングをしていると、ふいに目の前が白く霞んだ。 
 どうしたのだろうかと機械から手を離し、おでこに手を当てる。
その時、背後に人がいる気配がした。もしかしたらこの機械を使いたくて空くのを待っているのかもしれない。
ここで休憩しているのは申し訳ないと立ち上がった時だった。
目の前が突然真っ暗になって、体からみるみるうちに力が抜けていく。
「――危ない!」
 ふらりと体が揺れた瞬間、そんな叫び声とともに誰かの腕が目の前に伸びてきた。
私の体をギュッと抱きしめて支えて助けてくれた誰かは、倒れないようにゆっくりと床に座らせてくれた。
「――か先生、凛花先生!」
「あぁ……はい」
 ぼんやりしていた意識がようやく鮮明になる。顔を上げると、目の前には氷室さんの姿があった。
「意識が戻ってよかった。大丈夫?」
 床に右膝を突き、左腕で私の背中を支えながら氷室さんは心配そうに私の顔を覗き込む。
 すると、日焼けした屈強な男性二人組が私達の元へ歩み寄り、声を掛けてきた。
「ちょっとどいて? 俺たちが彼女を静養室まで連れて行くから」
 男性が私の体に手を伸ばそうとすると、氷室さんは「触るな」と低い声を上げた。その声には圧があり、男性はビクッとして手を止める。
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