【新作】婚約破棄×0日婚で逆転の幸せを掴んだら、生涯愛されました。
夕食のチキン南蛮をぺろりと平らげた賢哉さんは「悪い。ちょっと仕事の打ち合わせをしてくる」と自分の部屋へと入っていく。
「仕事、大変そうだな……」
賢哉さんはとにかく毎日忙しいはずなのに、家に帰っても「疲れた」とは言わず、私の前では疲れた顔をあまり見せない。 賢哉さんのそういう姿は、本当に尊敬してしまう。
私はよく疲れたような顔を見せてしまうことがあるし、そういう姿を何度も見せてしまっている。その姿を見せていることが、申し訳ないと感じてしまう。
「あ、洗濯物畳まなきゃ」
二人分の洗濯物をリビングで畳んでいると、仕事を切り上げた賢哉さんが部屋から出てくる。
「舞美絵、洗濯物ありがとう」
「ううん」
賢哉さんは元々家事が苦手みたいで、洗濯物を畳むのも苦手みたいだ。 私が畳んでいる姿を見て、最近は真似してやってくれたりする。
「タオル、しまって来るよ」
「あ、ありがとう」
賢哉さんは、タオルをバスルームへと持って行ってくれる。
「なあ、舞美絵」
「……うん?」
私は賢哉さんの方に振り返った。
「あれから、大丈夫か?」
「え? なにが……?」
「元カレのアイツ、あれから大丈夫?」
賢哉さんは雪輝にまた付きまとわれているのではかと、心配してくれているようだった。
「うん、大丈夫だよ。……賢哉さんのおかげで」
賢哉さんがいてくれたおかげで、あれから雪輝は付きまとわなくなった。 もちろん雪輝からの連絡はブロックしているし、二度と姿を見せないことを祈りたい。
「そっか。なら良かった」
「心配させて、ごめんなさい」
賢哉さんは「いや、あれから何ともないなら良かった」と微笑んだ。