【新作】婚約破棄×0日婚で逆転の幸せを掴んだら、生涯愛されました。
「んもう、四之宮ってば相変わらずケチくさいんだから」
「はあ? 何言ってんだ、お前は」
呆れたような顔をする賢哉さんに、寺巻さんは「お前は幸せ者なんだな、本当に」と言っている。
「もちろん、幸せに決まっているだろ」
「いいね。その幸せ、俺にも分けてよ」
「はあ? なんでお前に分けなくちゃイケないんだ」
お代わりのご飯を美味しそうに食べている寺巻さんは、「この照り焼き、めっちゃ美味いねー」と賢哉さんを見て笑っている。
「いいじゃん、少しくらい分けてくれてもさ」
「お前に分ける筋合いなどないだろ」
「ええ、ひどいなー四之宮は」
そんな二人の会話を聞いていると、なんだか微笑ましくてつい笑ってしまう。
「ん? どうした、舞美絵?」
「ううん。 なんか、二人の会話が面白くて。微笑ましいなーって思って」
賢哉さんは「微笑ましい? どこがだ」と寺巻さんのことを見ている。
「微笑ましいよ。……なんか、羨ましい」
「……羨ましい?」
寺巻さんが私のことを見つめる。
「私にも、こんなふうに笑い合える友達がいたら、きっと楽しかっただろうなって思って」
「笑い合える友達……か」
オーバードーズで亡くなった友人のことをふと思い出して、なんだか懐かしくなってしまった。
「舞美絵」
賢哉さんが私の手を握ってくれる。
「舞美絵には、俺がいるだろ?」
「後、俺もいるからね」
私にそう言ってくれる寺巻さんに、賢哉さんは「お前は関係ないだろうが」と口を開くけど、私はその言葉がすごく嬉しかった。
「……ありがとう、二人とも」
二人に向かって微笑むと、賢哉さんは「俺は、ずっと君のそばにいるから」と言ってくれた。
「うん」
二人の優しさに、心が染みた。