【完結】婚約破棄×0日婚で逆転の幸せを掴んだら、生涯愛されました。
「お前は一人じゃない。……俺がいるだろ」
こんな言葉で慰めになるかはわからないけど、寺巻を孤独にはしたくない。
「……ありがとうな、四之宮」
「寺巻のことを、俺たちが一人にはしない。絶対に、一人にはしない」
「その言葉で、ちょっと救われる。ありがとうな」
家族になる喜びを知ったからこそ、俺は言える。 そんな言葉で語れるほどのことじゃないけど、俺は何よりも家族を大切にしたいと思ってる。
家族より大切にしないといけないものなんて、きっとないはずだ。
「親父さん、体調はどうなんだ?」
「あんまり芳しくはないな。……認知症も発症してるし、食欲もだんだん落ちてきてるみたいで、日に日に衰弱していってるよ」
「……そうか」
寺巻は休みの日、今は親父さんのところへ行っているが、あまり体調は良くないようだ。
「この間なんか、また施設勝手に抜け出して徘徊してたらしいしな」
「そうか。……徘徊してたのか」
前に寺巻から「親父さんの体調があまり良くない」とは聞いてはいたが、認知症のせいもあり、入り込むだけでするようになっていたとは……。
「まあな。 でも俺に出来ることなんて限られてるし、施設の人にお願いするしかないんだけどな」
「……まあ、お前も四六時中一緒にいられるわけじゃないもんな。 面倒見るの大変だよな」
「仕方ないさ。これも、全部事故のせいだしな」
寺巻は深くため息を吐くと、「うだうだ考えてても、仕方ないよな。 起きたことは変えられないし、前向いて生きていくことしか出来ないもんな」と目の前にあったお茶を飲み干す。
「俺は、ずっとお前の味方だよ。どんな時もな」
「ありがとうな、相棒よ」
寺巻の悲しみは、俺にもよくわかる。