【新作】婚約破棄×0日婚で逆転の幸せを掴んだら、生涯愛されました。


 四之宮さんが幸せになることを、ご両親はきっと喜んでくれるはずだ。
 子供の幸せを喜ばない親なんて、いないと思う。

「舞美絵さん、ありがとう」

 優しく微笑む四之宮さんは、嬉しそうにシャンパンを口にした。

「……こちらこそ、ありがとうございます」

 私もシャンパンを口にすると、四之宮さんと一緒に微笑んだ。
 これがきっと、幸せと言うんだろうな。……こんな幸せを、私は夢見ていたのかもしれない。
 
「食べたら、少し歩きませんか?」

「はい」

 その後食事を終えた私たちは、お店を出た。 支払いは四之宮さんがしてくれた。

「誕生日なんだから、今日くらい甘えてください」

 と言われ、甘えることにしたのだった。

「あの、ごちそうさまでした。 お料理、とても美味しかったです」

「いえ。美味しかったですね」

「はい」
 
 なんとなく、私は四之宮さんの左手に目がいった。 隣を歩いてるのに触れそうで触れない、微妙なこの距離にドキドキして、もどかしくなる。
 この手に触れてみたいと、そう思ってしまう私がいる。
 気づいてほしい、でも気づいてほしくない。 そんな想いが交差していくのを感じた。

「……舞美絵さん?」

 ふとそんなことを思い、立ち止まった私に気付く四之宮さんが静かに振り返る。

「どうか、しましたか?」

「いえ、あの……」

 この手に触れてみたいと思うのはきっと、私が四之宮さんのことを好きだからなのだと、直感でそう感じた。

「すみません、俺何かあなたに気に触ることでもしましたか?」

 四之宮さんはそんな私の様子に気付いて「だとしたら、謝ります。すみません」と謝ってくる。

「……違います」

「え……?」
< 37 / 127 >

この作品をシェア

pagetop