【新作】婚約破棄×0日婚で逆転の幸せを掴んだら、生涯愛されました。
私は「違います。……四之宮さんは、何も悪くないんです」と伝えると、四之宮さんは「じゃあ……なんですか?」と私の目を見つめる。
「あの……手を、繋ぎませんか?」
「え?」
「……あ、すみません。変なこと言って」
私がこんなにガツガツとした女だと、そう思われるのもイヤだと思った。 でも、正直に言いたかった。
四之宮さんと「手を繋ぎたい」と。がめついと思われてもいいから、言いたかった。
「せっかく夫婦になるんですし……今から練習しませんか? その……夫婦になる、練習」
どんな答えが返ってくるかはわからない。 でも、伝えたかったから満足だ。
「……ありがとう」
「え?」
それは思ってもなかった「ありがとう」だった。
「手を繋いでもいいなら、繋がせてもらっていいですか? 夫婦になる練習、しましょう」
「はい。……どうぞ」
私の左手をそっと引き寄せ、握りしめる四之宮さんの手の温もりが優しかった。
「舞美絵さんの手、思ったより小さいですね」
「そうですか?」
「はい。守りたくなるような、そんな手をしてます」
守りたくなるような手……? そんなこと言われたの、初めてだ。
「……ありがとうございます」
「こんなに小さいんだから、指輪大きくて当たり前ですね」
「そんなこと、ないですよ。 ちょっと緩いくらいですし」
でも本当に嬉しかったから、緩いのなんてなんてことない。
「サイズ、もう少しピッタリにしてもらわないとですね」
「……確かに、このままじゃ失くしそうですしね」
「すみません」
「謝らないでください」
こうして会話をしながら、川沿いを手を繋ぎながら歩くのもいいなと感じた。
今日は、素敵な誕生日になった。