【新作】婚約破棄×0日婚で逆転の幸せを掴んだら、生涯愛されました。
ダンボールを壁に掛けた賢哉さんは、私の目の前に歩いてくると、座っている私の前にしゃがみ込む。
「あの、賢哉……さん?」
「まあ、舞美絵のそういうところが、好きなんだけどね」
「……え?」
その瞬間、賢哉さんの身体が私を優しく包み込むように抱き締める。
「俺、舞美絵と結婚して良かった」
そう言われたら、私も同じだ。 賢哉さんと結婚して、良かったと思うから。
賢哉さんの優しい温もりが、心地よくて癒やされる気がする。
「舞美絵の髪の毛、いいニオイするね」
「あ……シャンプーのニオイ、ですかね」
「なんか、甘くて可憐なニオイがする。 舞美絵にピッタリなニオイだ」
「そ、そうですか?」
シャンプーの香りを褒められたのは、初めてだ。 いつも愛用しているお気に入りのシャンプーとトリートメントがあるから、その香りなんだけど、私はそのシャンプーが一番髪に合ってる気がする。
「ずっと嗅いでたい、この香り」
「……賢哉さんも、これから同じ香りになりますよ」
これから同じシャンプーとトリートメントを使うなら、同じ香りになるし。
「それは嬉しいな。 この香り、結構好きだし」
「じゃあ、一緒に同じ香りになりましょう」
「そうだな。 俺にはこの香り、あんまり似合わないと思うけど」
私はその問いに「そんなこと、ないです。 私は、誰かとこの香りを共有出来るの、嬉しいですよ」と賢哉さんに伝えた。
「そっか。 共有か……悪くないな、それも」
「はい」
私はやっぱり、賢哉さんのことが好き。 でも、それを伝えるべきなのか悩む。
言いたい気持ちもあるけど、それを言って迷惑かけたくないし、困らせたくもない。