【新作】婚約破棄×0日婚で逆転の幸せを掴んだら、生涯愛されました。
バスルームで服を脱いで、シャワーを浴びると気持ちがリセットされる気がした。
髪と身体を洗い流し、湯船に浸かるだけで疲れが取れる気がした。
「……ふう」
舞美絵、寂しくなかったかな? 張り込み捜査に行くと伝えた次の日、舞美絵は朝家を出る前に「張り込み捜査、頑張ってください」と手作りのおにぎりを持たせてくれた。
そのおにぎりの中身は鮭と昆布で、あれは美味しかった。 俺のために作ってくれたのかと思うと、本当に嬉しかった。
まあ寺巻には、その時は結婚したことを伝えてなかったから、自分で作ったとウソをついたけど。
本当は、舞美絵が作ってくれたあのおにぎりを自分一人で食べたかっただけ、なんだけど。
「……よし、そろそろ出るか」
風呂から出てタオルで髪を乾かしながらリビングに戻ると、舞美絵が「賢哉さん、おかえりなさい」と微笑む。
「風呂、ありがとう」
「いえ、もうご飯出来ますよ」
キッチンからいい香りが漂ってくる。
「今日は、和食ですよ」
「美味そうな香りがするな」
「今日はきんぴらごぼうと鶏の照り焼きと、きゅうりの味噌漬けと、わかめのお味噌汁です」
え、照り焼き? 俺の好きな照り焼き作ってくれたのか?
「鶏の照り焼き、嬉しいわ」
「照り焼き好きだって、言ってましたもんね」
あの話、覚えててくれたのか……。
「俺、髪乾かしてくる」
「はい」
急いでドライヤーで髪を乾かし、キッチンへと戻る。
「さ、食べましょう」
「ああ」
俺は「いただきます」と手を合わせ、わかめのお味噌汁に手を伸ばす。
「ん、美味い」
「良かった」
舞美絵は嬉しそうに微笑んでいる。
「照り焼き、食べていいか?」