【新作】婚約破棄×0日婚で逆転の幸せを掴んだら、生涯愛されました。
「どうぞ、召し上がれ」
食べやすいように一口サイズに切ってある鶏の照り焼きを食べると、すごく美味かった。
「……美味っ」
やっぱり照り焼きって美味いよな……。この甘辛いタレが、最高に美味い。
「美味しいですか?」
「めっちゃ美味い。 俺の好きな味」
「良かったです」
舞美絵も「うん、美味しいですね」と微笑んでいる。
「全部美味い」
「ゆっくり食べてくださいね」
舞美絵の作る料理は、本当に美味いな。 なんでこんなに美味いんだろう。
「ご飯、お代わりしていいか?」
「もちろんです」
舞美絵は「やりますよ」とご飯のお代わりを持ってきてくれる。
「どうぞ」
「ありがとう」
普段料理をほとんどしない俺にとって、こういう誰かの手料理って貴重だ。 親もいない俺にとっては、母の味なんてものもわからない。
祖父母と暮らしてた時期は、祖母が料理を作ってくれていたけど、今は味も忘れてしまった。
「……母の味、か」
「え?」
ふと呟いたその言葉に、舞美絵は反応した。
「いや、なんでもない」
俺にとっての母の味は、舞美絵の味になるんだろうなと思う。 舞美絵の作る料理が、俺にとって母の味そのものなのかもしれない。
「あの、何か気になることがあれば、なんでも言ってくださいね」
「ああ、ありがとう」
数日ぶりに食べた舞美絵の料理に大満足した。
「ごちそうさまでした」
「はい」
あまりの美味しさに、めちゃくちゃ食べてしまった。
「洗い物はもちろん、俺がやるから」
「いいですよ。お仕事で疲れてるんだから、ゆっくり休んでてください」
舞美絵はなんでこんなに優しいんだろうか。舞美絵の人柄なんだとは、思うけど。