【新作】婚約破棄×0日婚で逆転の幸せを掴んだら、生涯愛されました。


「おい、その汚い手を離しやがれ」

「はあ? 誰だお前?」

 雪輝がそう聞くと、その人は「聞こえなかったのか? その手を離せと言っているんだ」と言っていた。

「関係ないヤツは引っ込んでろよ!」

 雪輝がそう言った時、「関係大ありなんだよ」と雪輝の手を私から引き離した。

「……え?」

 そこにいたのは、賢哉さんだった。

「賢哉さん……?」

 どうして、賢哉さんがここに……?

「彼女は、俺の妻だ。 俺の大事な妻に手荒なマネはやめてもらおうか」
 
 私の前に立って雪輝にそう言ってくれた賢哉さんに、私は思わず涙が出そうになった。

「妻……? お前、本当にこの男と結婚してんのかよ?」

「お前? 俺の妻にお前とは、いい度胸してるな」

「はあ?」 

 私は思わず、賢哉さんのスーツの袖を掴んでしまった。

「今さら妻になんの用だ? お前は所詮元カレだろ? 今のお前に彼女は相応しくない。さっさと俺たちの前から失せろ」

「………」

「聞こえなかったのか? さっさと失せろと言ってるんだ」

 雪輝は舌打ちをすると、私たちの前から立ち去って行った。

「舞美絵、大丈夫か?」

 すぐに賢哉さんは私の顔を覗き込む。

「ケガしてないか?」

「……うん」

 正直、すごく怖かった。 私の知ってる雪輝は、あんなんじゃなかった。

「賢哉、さん……怖かった」

「一人でよく頑張ったな」

 賢哉さんは私の震える身体を、優しく抱き締めたくれた。

「賢哉さん……っ」

 自然と涙が流れてしまった。

「大丈夫。もう大丈夫だからな」

 涙を優しく拭ってくれる賢哉さんに、私は「うん……」と頷いた。

「怖かったよな、ごめんな」

「ううん……もう大丈夫」
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