【新作】婚約破棄×0日婚で逆転の幸せを掴んだら、生涯愛されました。


 賢哉さんがこんなに顔が赤くなっている姿、初めて見たかもしれない。

「賢哉さん、本当に大丈夫?」

「……君のせいだよ、舞美絵」

「え? 私のせい……?」
 
 賢哉さんは人気のない建物の影に私を連れて行くと、私の唇を啄むように奪っていく。

「んっ、んんっ……」

 少し激しめのキスに、思わず賢哉さんのスーツの袖をギュッと掴んでしまう。

「賢哉さん、どうしたの……?」

 あんなに激しいキスするなんて……びっくりした。

「舞美絵があんなこと言うのが悪いんだからな」

「へっ?」

 あんなこと……とは?

「あっ……」

 セックスが上手いって言ったのが、まずかった……?

「それって、俺のこと誘ってるのか?」

「ち、違いますっ」

 そんなつもりで言ったわけじゃないのに……!

「でも、俺は嬉しかったけどね」

「ん?」

「妻にセックスが上手いって言われて」

 そう耳元で囁かれ、私は思わず下を向いてしまった。

「ご、ごめんなさい。私、そんなつもりで言ったわけじゃ、なくて……」

 成り行きでそう言ってしまっただけなの……!

「へえ? でもそれは、俺を誘ってるとしか思えないんだけど?」

「……さ、誘ってませんっ!」

 私は恥ずかしさから、「帰りますよ!」と賢哉さんの手を引く。

「照れてるんだ? かわいいね、舞美絵」

「もう、からかうのはやめてください」

「からかってないよ? かわいいから、かわいいって言ってるだけだし」

 でも賢哉さんのそういうところも、私は好き。

「賢哉さん、仕事……大丈夫なんですか?」

「ああ、今日はもう直帰だし大丈夫」

「……そっか、良かった」
  
 賢哉さんは「舞美絵、早く帰ろう」と私の手を握る。
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