ゆびきりげんまん
「ま、ていうことは当日は家族と過ごすって事でしょ?次の日にでもご飯行かない?」
「いいね、ご飯」
「でしょ?駅の近くにさー、安くて美味しいってお店見つけて行きたかったんだよね!あ、その後時間あったらカラオケとかどう?」
私の誕生日なのに、葵唯の方が嬉しそうに「誕生日だし、久しぶりにパーッと遊びたいよね!」と考えてくれる。
「カラオケかぁ、あんま行かないから楽しみかも」
「だよね!何歌おっかなー」
葵唯は放課後にバイトをよく入れていて、行ってもファミレスに寄るくらいだった。
バイトも部活もやっていない私は特に予定がない限りどこにも寄らずに真っ直ぐに家に帰る。
由紀さん達にはちゃんと連絡したら多少遅くなっても怒られることはないし、年頃だもんねと許してくれる。
「…てか、そういえば葵唯音痴じゃん」
「はぁ!?上手いから!ちゃんと聴いたことないでしょ!」
「え?1年の時にあった林間学校ん時のバスの中で歌った葵唯の歌声未だに耳に焼き付いてるんだけど」
「なっ、うっさい!」
…それはまぁ素敵な歌声だった。
葵唯も最初は下手くそだからと嫌がっていたけど、他の子達に促されてマイクを持たされていた。
「またあの“素敵”な歌声が聴けるのかぁ。めちゃくちゃ楽しみにしてるね」
「くっそムカつく」
「どっかのガキ大将のリサイタルみたいにならないといいけど。私の耳大丈夫かなぁ、怖いなぁ」
「うざ!!」
早速スマホで《歌が上手くなる方法》と調べているのを見て吹き出してしまった。