ゆびきりげんまん


「紬ちゃんももう17歳か〜、大人になったね」



誠さんはノンアルコールビールを飲みながらしんみりしている。

私は由紀さんに促されるまま椅子に座り、目の前のちらし寿司を見つめた。

色とりどりの具材が散りばめられたご飯の上に、さりげなくハート型の人参が混じっているのを見つけて、思わずふっと息が漏れた。



「……可愛い、」

「あ、気付いた?頑張って切り抜いちゃった」



ほんとだ、と誠さんもちらし寿司を覗き込んでふっと柔らかく笑っている。
「そのハートの人参入れて」と言うと盛ってくれたお皿の上はすっかりオレンジ色に染まっていた。


私が今感じているふんわりと温かい気持ちはきっと“幸せ”というものだというなら納得がいく。


こんな私に、この人達はここまでしてくれる。

未だに不思議ではあるけれど、引き取ってくれたあの日から2人は変わらない。



「…紬ちゃんを引き取った時は僕達もこれからどうなるんだろうって不安もあったけど、良かった…」

「え?」

「紬ちゃんを引き取って、僕達は幸せだよ」



ほんのりと赤くなった頬で笑う誠さん。



「誠さんの言う通りよ。…紬ちゃんが娘になってくれてほんと良かった」



改めてそう言われると恥ずかしい。
けど、嬉しい。

由紀さんがよそってくれた、ちらし寿司を目を逸らしながらひと口頬張った。


ずっとこんな日常が続けばいいのに、と。




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