ゆびきりげんまん
食後にバースデーケーキを食べた後、誠さんが部屋の奥から小さな紙袋を持って戻って来た。
「はい、これ。二人で選んだんだ。気に入ってくれるといいけど」
「……これって、」
箱を開けると、落ち着いたブラウンの革財布。
シンプルだけど大人っぽくて、綺麗めなデザインの物だった。
「紬ちゃんはもう高校生だし、なによりもうすぐ大学生にもなるでしょ?」
「ちゃんと良い物を使って欲しくてこれを選んだんだ」
葵唯に相談したあの日、悩む私に痺れを切らした彼女が『じゃあ、財布とかは?』とアドバイスしてくれた。
『紬が今使ってるのっていつから持ってんの?』
『え…、確か中学かな?』
『は、中学から?物持ち良すぎ…。じゃあ丁度いいんじゃない?』
これがきっかけだった。
そのままをその日の夜、誠さんに伝えると『なるほど、財布か!』と言っていたのを思い出した。
「…嬉しい、大切に使うね」
ちらっと2人のの表情を見ると、ホッとしたようないつも通りの優しい笑顔で「良かった」と呟いていた。