ゆびきりげんまん
ブブッとスマホが震え、画面を見ると由紀さんからのメールだった。
《紬ちゃん、勉強お疲れ様^︎^︎》
《家に着くのはまだ遅くなりそう?》
そのメールに、時刻が20時に差しかかろうとしている事に気付いた。
「葵唯、今日はここまでにしとこ」
「ん?わ、もう20時じゃん。やっば」
「ちょうどいい電車ある?」
「待ってね、……お、あるある。明日も学校だし帰るか」
「そうしよ。ちょっとのつもりが結構ガッツリやっちゃった」
「ほんとにそれ。私ちょー頑張ったくない?」
氷がほぼ溶けた残り少ない水っぽいオレンジジュースを飲み干して、テキストとノートを片付け代わりに財布を取り出しレジへと向かった。
お会計を済ませ外へ出ると昼間とは違う少し冷えた空気が漂っていた。
「はー、脳が疲れてるわ」
「今日珍しくめっちゃ集中してたもんね」
「中間100点取れるわぁ」
「ハイハイ」
ファミレスから出て、ふと視線を向かい側の道路へ向けると未だに黒い車が路肩に止まっていた。
「紬?どした?」
「え?ううん、なんでもない」
「私電車やばいから急ぐわ」
「あ、マジ?気を付けて帰ってね!」
「紬もね!じゃあ、また明日!」
バイバイと手を振った後、駅内へと駆け走っていく葵唯の背中を見つめながらぼんやりと考える。
…まぁ、ここは駅だし。
ずっと止まってるのはおかしい事でもないか。
車側に背を向けて、由紀さんに今から帰ると返信を送り私も駅へと向かった。