ゆびきりげんまん


『……あ、もしもし?つむ?』

「えっ、と……」



思わず電話に出てしまった。
静かな部屋でスピーカーにしてないスマホから微かに神崎さんの声が聞こえる。



「も、もしもし…?」

『もしもし?良かった、久しぶりにつむの声聞けた』

「あ……、」

『急に電話かけてごめんね。全然会えてなかったから声だけでも聞きたくて』



今大丈夫だった?と私を気遣う神崎さんの声はいつもより優しくてふわりと温かい気持ちになる。

椅子に置いたままの鞄につけた猫のキーホルダーを見てあの日の事を思い出した。



「……お仕事、忙しかったんですか?」

『うん、今ちょうど忙しくしてて。区切りがついたらまたカフェに一緒に行かない?』

「……」

『…つむ?』

「あ、…はい。行きます。行きたいです。ちょっと、お洒落なカフェ」

『ふふ、うん。頑張って見つけるね』



どんな所がいいかなぁと呟く声が聞こえた。
久しぶりのその安心感からつい、話してみようかと思ってしまった。



「……この前、友達と駅のファミレスに行ったんです」

『ん?』

「勉強するって言った時の」

『あぁ、あの時のね。それがどうかした?』

「その日くらいから、私の勘違いかもしれないけどなんか……、よく見かける車があって」

『………』


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