ゆびきりげんまん
***


家の最寄り駅で降り、公園に差し掛かった時だった。
ブブッとポケットの中のスマホが震えた。

表示されていたのは《神崎 律》という文字。



「はい、もしも…」

『つむ!!ごめん、俺っ、』



電話口で神崎さんはハァハァと息を切らしていた。
普段とは違う一人称と口調から慌てているのが伝わった。



『ごめんっ、急に仕事頼まれて行けなくて、』

「神崎さ、」

『今あの、学校!…の、近くまで来てるんだけど…』



ちょうど先生が文化祭の立て看板を外している場面に鉢合わせしたらしい。

『今どこ?』と控えめに聞いてくる神崎さんに少しだけ笑いが出てしまいそうになる。

いつもあんなに余裕があるのに。



『……つむ?』

「今、もう学校から出て家の近くなんです」

『あっ、……えっと、』

「近くに公園あるのでそこまで来れますか?」

『っ、行く!今から行くから!!』



通話が切れた真っ黒なスマホの画面を見ながら息をついた。

私のためにあんなに必死になってくれるなんて思ってもみなかった。



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