ゆびきりげんまん
ベンチに座ってしばらく経った時。
公園横でキッと見覚えのある車が止まり、遠くから激しい足音が近づいてきて、公園の入り口に人影が飛び込んできた。
「っ……、つむ、」
オレンジ色の奥には濃い紫色に染まった空。
公園の街灯はいつの間にかついていて、その光に照らされたスーツ姿の神崎さんは髪が少し乱れていた。
相変わらず、ホストのような格好をしていた。
「…そんなに慌てなくても、」
「慌てるに決まってるでしょ。……今日はごめん」
慌てて立ち上がって駆け寄ると神崎さんは申し訳なさそうに、悔しそうに表情を歪ませた。
ぎゅっと握り締める拳が震えている。
そんな、たかが文化祭なのに。
「いいんですよ、そこまでしてここに来てくれたから」
「…でも、」
「大袈裟だなぁ」
「つむ?」
神崎さんに背を向けてバッグを置いていたベンチへ戻ると不安そうに私を呼ぶ声が背後から聞こえた。
バッグの中から背中にクッキーとマフィンがラッピングされた袋を取り出して神崎さんへ渡した。