ゆびきりげんまん
吹奏楽部の楽器の音や微かに部活動生の掛け声も聞こえる廊下を1人歩いていく。
窓の外を見ると、等間隔に植えられた木が風に揺れながら佇んでいた。
…雪なんて、この都会では滅多に積もることなんかないのに。
どこかの田舎が舞台だったあの夢に引き摺られているんだろう。
《どう?怒られた?》
ブブッとスマホが震え、見ると葵唯からのメールが。
《雑用押し付けられた》と愚痴るとケラケラ笑っているスタンプが送られてきた。
学校からの帰り道、家の最寄り駅で降りて化粧水がもう少なくなっていた事を思い出し、買い物してから帰ろうと少し遠回りの道を歩いた。
「ゆーびきりげんまん、嘘ついたら針千本飲ーますっ、指切った!」
公園を通りがかった時に聞こえた何気ない女の子の明るい声が聞こえて反射的に足が止まった。
視線を向けると、小学生くらいの子達が私から1番近いベンチに男女で並んで座っている。
「約束だからね!」
「うん!また明日!」
繋がれている小指。
懐かしい歌が頭の中で繰り返し響く。
手を振りあって駆け出して行くのを目で追った。
…そういえば、同じような夢を見るようになったのは“あの日”からだった気がする。
数日前の、あの日。