酔っ払った勢いで子どもを授かりました。って、相手は誰?
* * *

「ま~ま~」
 見ているだけでもヒヤヒヤするような足取りで、一歳になったリザリアが駆け寄ってくる。
「つかまえた」
 エリサリナは愛娘が逃げないようにとぎゅっと抱きしめる。
「歩くようになったら、本当に大変ね」
 エリサリナが大叔母に笑顔を向けると「あなたの小さい頃にそっくりよ~」と笑いながらリザリアの金色の髪をなでている。
 リザリアの髪は不思議な色をしていた。光に当たれば金色なのに、暗いところでは黒く見えるのだ。きっと相手の髪色を受け継いだのだろうとは思うが、その相手に心当たりがない。ちなみに瞳の色はリュミエール伯爵家の血が色濃く出ている。
「おーばー、おーばー」
 妊娠が発覚したエリサリナは、伯爵領から逃げるようにこの地にやってきた。ここは母方の大叔母、つまりエリサリナの母方の祖母の妹が嫁いだ田舎の小さなメラーズ子爵領。田舎だが一年中気候は穏やかで、過ごしやすい。
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