酔っ払った勢いで子どもを授かりました。って、相手は誰?
 促され、彼の向かい側にそそっと腰を下ろす。
 それを見届けたアイゼルは、鋭い目つきのまま小さく息を吐いた。
「あなたは薄情ですね。あれだけ騎士団で一緒にいたというのに、昔の仲間の顔も忘れてしまったのですか?」
「あ、いえ……そんなことはない」
 んだけど……と、その言葉を言う前に、アイゼルにキリッと睨まれる。
「ち、違うの。ほら、二年も経ったから、アイゼルも大人になったなぁって……」
「二年……大人って……いつまで経っても僕を子ども扱いするんですね」
「子ども扱いなんてしてないから」
 こんな大きな子どもは嫌だ。しかも不機嫌をまき散らして、まるでイヤイヤと暴れるリザリアのようだ。
 と、娘を思い出したときに「あれ?」とエリサリナは違和感を覚えた。いや、既視感かもしれない。
「はぁ……もういいです。本当はこんなことを言いにきたわけじゃないんで……。あなたを見たら、感情が抑えられなかっただけです」
 スーハーと大きく息をしたアイゼルは、白磁のカップに手を伸ばす。その一連の動作を、エリサリナはじっと見ていた。
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