酔っ払った勢いで子どもを授かりました。って、相手は誰?
「カルデナ侯爵は、父の兄なんです。結婚したものの子どもには恵まれず、我が家から養子をという話は前々から出ていました」
 アイゼルには兄と弟がいる。となれば養子の話が出てもおかしくはないだろう。
「モルゲン子爵家は兄が継ぐことが決まっていましたし、本人もできれば子爵家に残りたいと。だから僕か弟が侯爵家にとは言われていたのですが、弟は神官になるとか言い出して……」
 頭を抱えるアイゼルの様子を見れば、いろいろ大変だったんだろうなと察した。
「まぁ、とにかく。僕は伯父の養子になったんです。そうすれば、堂々とあなたの隣に立てると思ったから。それなのに――」
 その先の言葉は、噛みしめられた唇の奥に閉じ込められた。
 そんな彼を見て、エリサリナはなんて言ったらいいのかがわからなかった。
「すみません。こんなみっともない姿を見せたくないのに。あなたの前にいると、感情を制御できない……」
「落ち着くまで待っているから」
 わざわざアイゼルがここまでやってきた理由も気になる。そして彼がカルデナ侯爵だとすれば、あのときの縁談の相手はもしかして? という考えも湧き起こってくる。
「あの……ちょっと確認なんだけど……」
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