酔っ払った勢いで子どもを授かりました。って、相手は誰?
 そのまま後ろに倒れ込むようにしてアイゼルはもう一度ソファに腰を落とした。
「覚えてないって、どこから覚えてないんですか?」
 呆れと諦めが交じったような声を絞り出したアイゼルは、項垂れる。
「うん、だから、送別会の後っていうか、途中から……? ご飯が美味しいなっていうのは覚えてるんだけど、その次の記憶は朝っていうか……」
「うわぁ……肝心なところを忘れてるし……」
 軽い口調なのは、アイゼルの独り言だからだろうか。それとも本心か。
「だから、あの……よかったら、あの日、何があったか教えてくれない?」
「……はぁ、その件は、もういいです」
 諦めたようにアイゼルはひらひらと手を振った。
 その様子を目にしたら、なぜかエリサリナの心臓がぎゅっと鷲づかみされたように苦しくなった。
 今、彼に対して何かを期待していた。
「それで、僕からの縁談から逃げるようにしてこちらに来たのは、本当に身体を壊したからなんですか?」
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