酔っ払った勢いで子どもを授かりました。って、相手は誰?
 アイゼルの顔色が、さっと青くなる。
「もしかして……あれは僕の思い上がりだった? 好きだから結婚してほしいって言いましたよね?」
「いつ?」
「だから、送別会の後。あなたを宿まで送ったとき。てっきり僕の気持ちを受け入れてくれたと思ったから……」
「ごめんなさい!」
 エリサリナは勢いよく頭を下げた。これ以上、黙っているのは心苦しい。
「実は、送別会の後の記憶がなくて……気がついたら、朝だった」
「……は? うそだろ……?」
「うそじゃない。お酒を飲んで記憶をなくすって本当にあるんだなって思った。だからあれ以降、お酒は控えてるし……だけど、その夜、誰かと一緒だったっていうのはうっすら覚えてるんだけど……」
 エリサリナは、呆然と立ち尽くすアイゼルを気まずそうに見やる。
「ごめんなさい。本当にごめん。そのとき、どんな約束をしていたかも覚えていないんだけど。約束を破ったとしたら、それは私の本心じゃないっていうか……えっと……意図的に破ったっていうわけじゃなくて、その……だから、覚えてなくて……」
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