酔っ払った勢いで子どもを授かりました。って、相手は誰?
 なぜか胸が苦しくなった。アイゼルから突き放されたような気がした。
「だけど、断ることは許しません。今はまだ、僕のことを好きではないかもしれませんが、これから好きになってもらう予定ですから」
 そう言った彼は、今度は軽く、ちゅっと額に口づけてきた。
「ダメだ……名残惜しいけれど、このままでは離れられなくなる……順番を守らないと……」
 ぶつぶつと何か言いながら、アイゼルはエリサリナと距離を取った。
「また来てもいいですか? いや、また来ます」
 許可を取るような言い方は、騎士団時代となんら変わりない。だけど、言い直したときの表情は、あのときとは違うもの。
 気持ちを整えたエリサリナは、アイゼルを見送るため部屋を出た。
 しかし、部屋の外ではリザリアを抱いたダフネが待っていたのだ。
「ま~ま~」
「ごめんなさい。リアにはママは大事な話をしているから、良い子で待ちましょうと言ったのに、暴れて手がつけられなくて。だからあなたの側で待っていたの」
「ありがとう、ダフネおばさま」
 リザリアをダフネから受け取ったとき、鋭い視線を感じた。
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