Dying music 〜音楽を染め上げろ 高2編~
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「ただいま。」
2年生になって変化したことは後輩ができたことだけじゃない。
一緒に住んでいた雄大さんがこの春に引っ越した。会社の部署異動で4月から埼玉で働いている。引っ越す日にみんなでお見送りしたんだけど、蓮は最後まで泣いていた。蓮にとっては年上の男の人だったものな。そりゃ泣く。一人いなくなった家はまだ少し寂しい。
「おかえりー!」
お母さんがエプロン姿で出迎えにきてくれた。
あれ?お母さんだけなのか。みんなの靴がない。それにいつもは騒がしいリビングから何も声が聞こえない。
「麗華ねぇと蓮、まだ帰っていないの?」
「麗華は就活ガイダンスで遅くなるって。蓮はまだ塾よ。」
まだ帰っていないのか。麗華ねぇは今年大学3年生で、蓮も高3。それぞれ就活と受験で夜遅くに帰ってくることが増えたからな。
夕飯とお風呂を済ませた後、自室に向かいギターの手入れ、パソコンの立ち上げを行う。
今は…21時か。
今日のタスクはMVをいいところまで完成させること。歌詞を打ち込んでアニメーションをつけて…ラスサビまで完成させられたらいいな。
と、その前に。
まずは先週アップした動画の確認をする。再生回数は…30万回。わりといいペース。最近はボカロだけでなく、JPOPや邦ロックにも挑戦している。そのおかげか、新規視聴者が流れてきているらしく、登録者数も再生数も順調に伸びている。
アナリティクスも確認し、年齢層などを含む視聴者層を見ながら分析をする。化学とかの分析は苦手なのにこういう分析は得意なんだよな。
「っし。やるか。」
動画の確認を終えたらやっと編集作業を始める。そこから3時間以上、パソコン相手にひたすら作業を行う。
ーーーーー作業開始から数時間後、
無事に(?)日付は超え、脳みその稼働が限界を迎えてきた。あぁ、瞼が重い。
……あ。
「リマインド連絡…。」
明日はいつもと入り時間が違うから連絡しておかなければ。襲いかかってくる睡魔に対抗しながらスマホを手に取った。
―『入り18時半です。Aスタです。よろしくお願いします。』
送信すると、すぐに既読がつき返信がきた。
―『楽しみだね♪』
楽しみって。その音符はなんだ、その音符は。しかも深夜なのにどうしてこんなに返信が早いんだ。
そんなことを考えていると、眠気レベルが一気に上がる。
あぁだめだ眠い…。寝よう。
ポヤポヤしながらもパジャマに着替え、気絶するように眠りについた。