Dying music 〜音楽を染め上げろ 高2編~
―1時間後
「本日はありがとうございました。」
「こちらこそ!俺らの曲ってだいぶ癖強めだからさ。あそこまで引き立てながらオリジナルぶち込んでくるなんて。驚いたよ。」
…今日は初めてだらけのステージだった。
バンドさんのオリジナル曲を弾かせてもらったんだけれど、Max10は軽く超えるくらいの難易度だった。リズムは予測不能、音の切れ方は不規則、独特な曲調に一筋縄ではいかなかった。音の規則性、そんなものも全くなかった。いつもの倍以上の練習量をこなし、何とか納得のいく形に仕上げた。習得にこんなに時間がかかった曲はたぶん初めてだ。
「僕もこういう曲調はあまりやったことがなくて新鮮でした。もしご縁がありましたら、またよろしくお願いします。」
「もちろん!じゃあまたね。」
バンドが去っていく背中を見送りながら、胸の奥にじんわりと熱が広がる。
コラボといっても主役はバンドさん。どうすれば主役を活かせるか。どうすれば相手の魅力を最大限にまで引き出せるか。
そしてその中で変に悪目立ちせず、いかに自分の個性を入れ込むか。
以前の僕は、コラボするときは、自分の個性を完全に消していた。無になって、音の補助をすることだけに徹していた。
でも、それでは僕がステージに立つ意味がなくなってしまう。
僕も一人のギタリストで、ステージ上にいる演者だ。僕の音がそこにいることをちゃんと伝えなければならない。
実際にバンドさんに混じって演奏するからこそ得られる学びはたくさんある。一人では気づけないことだらけだ。その場で得た技術や知識を自分のステージやバンドに持ち帰って活用する。そうやって自身のギタースキルを更新し続けるんだ。
…って。こんなこと考えている場合じゃない。
コードとのステージが待っている。急いで準備しなければ。