Dying music 〜音楽を染め上げろ 高2編~
ステージに足を踏み入れると、ざわめいていた客が一気にこちらへ視線を向ける。
「みなさんこんばんは!コードです」
「Cyanです」
マイクを通すと、呼応するように客席のあちこちから歓声が飛び交う。
―「コードぉぉ!」
―「Cyan久しぶりー!」
土曜の夜のMidnightは、いつもよりぎゅうぎゅうに人が詰まっている。
「2人でステージ立つの、久しぶりなんですけれどね。最近どうよ、Cyan?」
コードが軽く肩をぶつけてくる。コードはMCが上手い。客の反応や雰囲気を読むのがうまくて、常連とも初見とも自然に距離を縮めてしまう。
「まぁまぁかな。新学期始まってちょっと忙しいくらい。コードは……髪、どうしたのそれ。ホストに転職でもした?」
僕の髪色いじりに、客席からクスクスと笑いが漏れる。MCは毎回アドリブで、何を話すかなんて決めていない。会話が途切れなければいいという考えで、その場のノリと勢いで繋いでいる。
「おいおい、これでも本職シンガーね?歌ってんだわ。ほんとさぁ、ねぇ?クソガキですよコイツ(笑)」
コードがわざとらしく肩をすくめ、客席がまた笑いに包まれる。
…そろそろ空気を切り替えるタイミングだ。
「それでは、お喋りはこのへんで。早速、曲に移っていきましょう」
僕が一歩前に出て言うと、ざわめきがすっと静まる。
「いつもどおり手拍子・合いの手、初見さんも常連さんも大歓迎でやらせていただきます。」
コードが言い終えると照明がふっと落ち、ステージが闇に沈む。
――さあ、はじめよう。