君と終わった街で
洸太は少しだけ目を伏せた。
怒られると思っていた。
呆れられると思っていた。
でも洸太は、責めるような顔をしなかった。
それが余計に苦しい。
洸太は小さく息を吐く。
「……そっか」
その返事は、驚くくらい優しかった。
桃花は唇を噛む。
洸太は椅子へ深く背中を預けながら、天井を見上げる。
蛍光灯の白い光。
静かな夜のオフィス。
その横顔が、少し疲れて見えた。
「でも、ごめんな」
洸太は視線を落としたまま続ける。
「多分俺、文姫じゃないと無理だ」
その言葉は、静かだった。
でも。
四年間積み上げてきた想いを、一瞬で壊すには十分すぎるくらい真っ直ぐだった。
桃花は何も言えない。
分かっていた。
そんなこと。
とっくに。
キスした時から。
いや、もっと前から。
洸太が“堤文姫”という名前を口にする時だけ、少し違う顔をすることに気づいていた。
それでも。
もしかしたら、と思ってしまった。
自分のことを見てくれる日が来るかもしれないって。
桃花は視線を落とす。
涙が出そうになる。
でも泣きたくなかった。
こんなところで泣いたら、本当に終わってしまう気がしたから。
洸太は小さく笑う。
「桃花はちゃんといい奴だよ」
「仕事も頑張ってるし」
「優しいし」
「可愛いし」
桃花が思わず笑ってしまう。
「最後雑すぎません?」
「事実」
洸太も少しだけ笑った。
でも、その笑顔はやっぱりどこか苦しそうだった。
桃花はその顔を見る。
胸が痛かった。
この人は今、ちゃんと傷ついている。
なのに。
傷ついてる原因の相手を、追いかけようとしている。
本当に馬鹿だと思う。
でも。
だから好きになった。
桃花はゆっくり息を吐く。
「……行くんですか」
洸太は少しだけ黙る。
それから、静かに頷いた。
「ちゃんと話す」
その目は、もう決まっていた。
桃花はその横顔を見つめる。
負けたな、と思った。
まだ諦めないって言ったばかりなのに。
この人の中には、最初から一人しかいなかった。
怒られると思っていた。
呆れられると思っていた。
でも洸太は、責めるような顔をしなかった。
それが余計に苦しい。
洸太は小さく息を吐く。
「……そっか」
その返事は、驚くくらい優しかった。
桃花は唇を噛む。
洸太は椅子へ深く背中を預けながら、天井を見上げる。
蛍光灯の白い光。
静かな夜のオフィス。
その横顔が、少し疲れて見えた。
「でも、ごめんな」
洸太は視線を落としたまま続ける。
「多分俺、文姫じゃないと無理だ」
その言葉は、静かだった。
でも。
四年間積み上げてきた想いを、一瞬で壊すには十分すぎるくらい真っ直ぐだった。
桃花は何も言えない。
分かっていた。
そんなこと。
とっくに。
キスした時から。
いや、もっと前から。
洸太が“堤文姫”という名前を口にする時だけ、少し違う顔をすることに気づいていた。
それでも。
もしかしたら、と思ってしまった。
自分のことを見てくれる日が来るかもしれないって。
桃花は視線を落とす。
涙が出そうになる。
でも泣きたくなかった。
こんなところで泣いたら、本当に終わってしまう気がしたから。
洸太は小さく笑う。
「桃花はちゃんといい奴だよ」
「仕事も頑張ってるし」
「優しいし」
「可愛いし」
桃花が思わず笑ってしまう。
「最後雑すぎません?」
「事実」
洸太も少しだけ笑った。
でも、その笑顔はやっぱりどこか苦しそうだった。
桃花はその顔を見る。
胸が痛かった。
この人は今、ちゃんと傷ついている。
なのに。
傷ついてる原因の相手を、追いかけようとしている。
本当に馬鹿だと思う。
でも。
だから好きになった。
桃花はゆっくり息を吐く。
「……行くんですか」
洸太は少しだけ黙る。
それから、静かに頷いた。
「ちゃんと話す」
その目は、もう決まっていた。
桃花はその横顔を見つめる。
負けたな、と思った。
まだ諦めないって言ったばかりなのに。
この人の中には、最初から一人しかいなかった。