劣等生と光の花束〜ある魔女の秘密〜
マシューはアメジスト・ウルフ寮に所属しているものの、特別な才能は今のところ開花していない。マーキュリーの姓を名乗っているものの、血の繋がりは一滴もない。ドクドクと心臓の鼓動が早くなっていく。

(僕は誰に狙われているの?僕を狙う理由って何?)

その時、教室のドアが開いた。ヨランダが警戒した目で辺りを見回し、マシューに気が付くと驚いた様子を見せる。

「マシュー!さっきの話を聞いていましたか?」

マシューは首を横に振った。聞いていたことがバレてしまったら、叱られるだけでは済まないようなそんな気がしたためである。

ヨランダの後ろから、ウィルフレッドとラルフも顔を出した。ウィルフレッドが微笑む。

「マーキュリーくんのところは執事・メイド喫茶でしたね。あとで寄らせてください」

「僕も行こうかな〜。あっ、チョコレート使ったメニューってある?」

ラルフに訊かれ、マシューは「チョコレートのパフェがありますよ」と答えた。ラルフが無邪気な笑顔を浮かべる。

「マシュー」

ヨランダに名前を呼ばれる。ヨランダはいつもの穏やかな表情に戻っていた。ヨランダがマシューを抱き締める。

「……私も、あとで出し物を見に行かせてくださいね」

そう言い、マシューを抱き締める手は震えている。マシューは恐る恐るヨランダの背中に腕を回し、「もちろんです」と頷いた。
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