劣等生と光の花束〜ある魔女の秘密〜

最後の日

十二月三十一日。今年最後の日がやって来た。

「レンスケ先輩。何してるんですか?」

談話室に来たマシューは首を傾げる。片付けられた談話室には、調理器具が並べられており、レンスケは何やら首を灰色の生地をこねているところだった。

「ああ、マーキュリーか。蕎麦を作っているんだ」

「蕎麦?」

「日本では大晦日には蕎麦を食べる習慣がある。厄落としや長寿祈願の意味や願いが込められているんだ」

「そういえば、フレイヤ先輩も年越し蕎麦の話を教えてくれたような気がします」

フレイヤはどう年越しをするのだろうか。マシューがそんなことを考えていると、バサリと顔に布がかかる。マシューが手で払いのけると、エプロンだった。レンスケが言う。

「お前にも食べさせてやるから、年越し蕎麦作りを手伝ってくれ」

「はい!」

マシューは日本食を口にしたのは、ディセントラ魔法学園に入学してからだ。しかし口にしたのは、肉じゃがや味噌汁などしかなく、蕎麦は初めてである。
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