私の恋を探してください
千谷沢さんの視線に気づいた奥川さんは、町田先生に、にこやかに言った。
「――初めまして、卒業生の奥川と申します。こちらは、千谷沢。所用でお部屋をお借りしておりました」
「ああ、そう。――で、千谷沢さん?この後ヒマ?食事でもどう?」
私は、目の前で行われている、あからさまなナンパに、呆然としてしまった。
千谷沢さんは、まるで、汚い物を見るような目で、町田先生を睨む。
「……千谷、顔」
「……じゃあ、どうしろってんだよ、颯介」
「まあ、良いんじゃないの」
「は⁉」
「冗談だよ」
奥川さんは、ニコリ、と、町田先生に微笑む。
その笑みに、何か含んだものを感じたのは――私だけだろうか。
「――せっかくのお話、お受けしたいのは山々ですが、我々、この後所用がありまして。すぐにお暇しないといけないんです」
「あ、そ、そう……です、か」
彼も、千谷沢さんに負けず劣らずの”イケメン”。
町田先生は、その圧に押され、口ごもった。
そして、そそくさと挨拶をして、足早に部屋を出て行った。
「……まったく……あの人の悪いクセは、いつまで経っても治らないねぇ」
鳥居教授は、いつの間にか淹れていたお茶をすすりながら、勢いよく閉められたドアを見やり、あきれたように言う。
「教授、あの男、前科有りですか?」
「いやぁ……いっつも、ギリギリのラインなんだよねぇ。逃げるのも上手いしさ」
「さっさと追い出しませんかね、あんな見境の無いヘンタイ」
千谷沢さんは、しかめっ面で抗議するが、鳥居教授は、ニコニコと返すだけだ。
彼は、その反応に、あきれたようにため息をついた。
「……まあ、良いですよ。アレが捕まったら、教授も無事じゃないですからね」
「千谷沢、脅かさないでよ」
「管理責任、って、ヤツじゃないですか」
「自己責任じゃないの?」
「言葉遊びしてるんじゃないんですって!」
「――ふふっ……」
飄々と返す鳥居教授と、血管を浮かせながら抗議する千谷沢さんの対比が妙におかしくて、私は、思わず、笑ってしまった。
すると、教授も、千谷沢さんも――奥川さんまで、私を凝視してくる。
――マズい!失礼な態度だった⁉
私は、慌てて頭を下げた。
「すっ……すみません、失礼いたしました」
「――……あ、ああ、いや、別に」
「珍しいねぇ、汐見さん。キミが、そんな風に笑うなんて」
「……え」
「すっかり、コイツ等と打ち解けてくれたみたいで、安心したよ」
「え、いえ……」
――そういう訳では。
そう、続けようとしたけれど。
「おいっ、琴子っ!時間!!」
千谷沢さんの叫びに、我に返った。
「――初めまして、卒業生の奥川と申します。こちらは、千谷沢。所用でお部屋をお借りしておりました」
「ああ、そう。――で、千谷沢さん?この後ヒマ?食事でもどう?」
私は、目の前で行われている、あからさまなナンパに、呆然としてしまった。
千谷沢さんは、まるで、汚い物を見るような目で、町田先生を睨む。
「……千谷、顔」
「……じゃあ、どうしろってんだよ、颯介」
「まあ、良いんじゃないの」
「は⁉」
「冗談だよ」
奥川さんは、ニコリ、と、町田先生に微笑む。
その笑みに、何か含んだものを感じたのは――私だけだろうか。
「――せっかくのお話、お受けしたいのは山々ですが、我々、この後所用がありまして。すぐにお暇しないといけないんです」
「あ、そ、そう……です、か」
彼も、千谷沢さんに負けず劣らずの”イケメン”。
町田先生は、その圧に押され、口ごもった。
そして、そそくさと挨拶をして、足早に部屋を出て行った。
「……まったく……あの人の悪いクセは、いつまで経っても治らないねぇ」
鳥居教授は、いつの間にか淹れていたお茶をすすりながら、勢いよく閉められたドアを見やり、あきれたように言う。
「教授、あの男、前科有りですか?」
「いやぁ……いっつも、ギリギリのラインなんだよねぇ。逃げるのも上手いしさ」
「さっさと追い出しませんかね、あんな見境の無いヘンタイ」
千谷沢さんは、しかめっ面で抗議するが、鳥居教授は、ニコニコと返すだけだ。
彼は、その反応に、あきれたようにため息をついた。
「……まあ、良いですよ。アレが捕まったら、教授も無事じゃないですからね」
「千谷沢、脅かさないでよ」
「管理責任、って、ヤツじゃないですか」
「自己責任じゃないの?」
「言葉遊びしてるんじゃないんですって!」
「――ふふっ……」
飄々と返す鳥居教授と、血管を浮かせながら抗議する千谷沢さんの対比が妙におかしくて、私は、思わず、笑ってしまった。
すると、教授も、千谷沢さんも――奥川さんまで、私を凝視してくる。
――マズい!失礼な態度だった⁉
私は、慌てて頭を下げた。
「すっ……すみません、失礼いたしました」
「――……あ、ああ、いや、別に」
「珍しいねぇ、汐見さん。キミが、そんな風に笑うなんて」
「……え」
「すっかり、コイツ等と打ち解けてくれたみたいで、安心したよ」
「え、いえ……」
――そういう訳では。
そう、続けようとしたけれど。
「おいっ、琴子っ!時間!!」
千谷沢さんの叫びに、我に返った。