私の恋を探してください
「……本当に、なかなかの距離だったね……」
大学を出て二時間以上。
途中、休憩を挟み、ようやくS村の近くまでやってきた。
辺りは、ポツポツと等間隔で並ぶ電灯の下だけが、薄っすらと明るく、そこから外れると、一気に深い暗闇。
その中で、赤信号で停まると、奥川さんは首を左右に曲げる。
すると、後部座席に座っている私にまで聞こえるような、ボキボキッ、と、いう音。
「……すみません……遠くて……」
私が肩を縮こませて謝ると、奥川さんは、座席越しに、私に言った。
「いや、千谷と交代しながらだったし」
その千谷沢さんは、途中のサービスエリアで買った、爆弾おにぎりを頬張っている。
「でも……」
「それに、僕等の都合な訳だし。気にしないでね、汐見さん」
「……あ、ありがとうございます」
私は、頭を下げると、窓の向こうを見やる。
見慣れた闇の中はずなのに、今日は、何だか違う感じがして、不思議だ。
「おい、琴子」
「ひゃいっ⁉」
反射で返事をして、私は、慌てて口を手で押さえる。
――不意打ちだったから、ヘンな声が出てしまった。
名前を呼んだ当の千谷沢さんは、平然とペットボトルのお茶を口にしながら、尋ねてきた。
「……ばあ様の施設ってのは、どこだよ」
「――あ、ハ、ハイ」
私は、フロントガラスの向こうに見える、大きなスキー場の看板を確認する。
昔ながらの施設だけど、地元民には、馴染み深い。
「その看板を、右に曲がると、役場があって……」
「――うん」
奥川さんは、青信号になったので、車を発進させ、私の指示通りに運転する。
そして、数分でおばあ様が入っている福祉施設にたどり着いた。
けれど、もう、面会時間は、終了間近。
私は、急いで車から降りると、入り口に飛び込んだ。
「あら、汐見のお嬢さん」
「あのっ……め、面会、もう無理、ですかっ……⁉」
そう、いつもの受付の人に尋ねると、彼女はチラリと時計を見やり、奥の方に視線を向けた。
そちらには、夜間の責任者の方がいて、うなづいてくれたようだ。
「――いえ、少しだけなら、大丈夫ですよ」
「あ、ありがとうございますっ!」
私は、頭を下げると、ちょうど入ってきた探偵二人を見やり、うなづいた。
「大丈夫だそうです」
「そう、良かった」
奥川さんは、少々疲れた表情だったが、それでも態度には出さず、にこやかにうなづいてくれた。
千谷沢さんは、入り口で周囲をキョロキョロと見回している。
――きっと、縁の無いところだろうから、珍しいのかもしれない。
彼の態度は、何だか、小学生男子のように思えてしまう。
すると、受付の彼女が、戸惑うように私に尋ねた。
「あ、あの……お嬢さん、そちらの方々は……」
「――あ、えっと……」
私が、どう答えようか戸惑っていると、奥川さんが、脇から受付の窓をのぞき込んだ。
大学を出て二時間以上。
途中、休憩を挟み、ようやくS村の近くまでやってきた。
辺りは、ポツポツと等間隔で並ぶ電灯の下だけが、薄っすらと明るく、そこから外れると、一気に深い暗闇。
その中で、赤信号で停まると、奥川さんは首を左右に曲げる。
すると、後部座席に座っている私にまで聞こえるような、ボキボキッ、と、いう音。
「……すみません……遠くて……」
私が肩を縮こませて謝ると、奥川さんは、座席越しに、私に言った。
「いや、千谷と交代しながらだったし」
その千谷沢さんは、途中のサービスエリアで買った、爆弾おにぎりを頬張っている。
「でも……」
「それに、僕等の都合な訳だし。気にしないでね、汐見さん」
「……あ、ありがとうございます」
私は、頭を下げると、窓の向こうを見やる。
見慣れた闇の中はずなのに、今日は、何だか違う感じがして、不思議だ。
「おい、琴子」
「ひゃいっ⁉」
反射で返事をして、私は、慌てて口を手で押さえる。
――不意打ちだったから、ヘンな声が出てしまった。
名前を呼んだ当の千谷沢さんは、平然とペットボトルのお茶を口にしながら、尋ねてきた。
「……ばあ様の施設ってのは、どこだよ」
「――あ、ハ、ハイ」
私は、フロントガラスの向こうに見える、大きなスキー場の看板を確認する。
昔ながらの施設だけど、地元民には、馴染み深い。
「その看板を、右に曲がると、役場があって……」
「――うん」
奥川さんは、青信号になったので、車を発進させ、私の指示通りに運転する。
そして、数分でおばあ様が入っている福祉施設にたどり着いた。
けれど、もう、面会時間は、終了間近。
私は、急いで車から降りると、入り口に飛び込んだ。
「あら、汐見のお嬢さん」
「あのっ……め、面会、もう無理、ですかっ……⁉」
そう、いつもの受付の人に尋ねると、彼女はチラリと時計を見やり、奥の方に視線を向けた。
そちらには、夜間の責任者の方がいて、うなづいてくれたようだ。
「――いえ、少しだけなら、大丈夫ですよ」
「あ、ありがとうございますっ!」
私は、頭を下げると、ちょうど入ってきた探偵二人を見やり、うなづいた。
「大丈夫だそうです」
「そう、良かった」
奥川さんは、少々疲れた表情だったが、それでも態度には出さず、にこやかにうなづいてくれた。
千谷沢さんは、入り口で周囲をキョロキョロと見回している。
――きっと、縁の無いところだろうから、珍しいのかもしれない。
彼の態度は、何だか、小学生男子のように思えてしまう。
すると、受付の彼女が、戸惑うように私に尋ねた。
「あ、あの……お嬢さん、そちらの方々は……」
「――あ、えっと……」
私が、どう答えようか戸惑っていると、奥川さんが、脇から受付の窓をのぞき込んだ。