私の恋を探してください
4.実の娘に、その扱いは
 兄との電話を終えると、私は、ベッドに腰掛けているおばあ様を見やり尋ねた。

「――おばあ様、タクシーはいつ来るんでしょうか?」

 もう来るのであれば、早々に出ないといけない。
 けれど、おばあ様は、あっさりと探偵二人を見やる。

「もう、そこ(・・)にいるじゃないの」

「え?」

 私が聞き返すと、おばあ様が答える前に、奥川さんが答えた。
「では、僕等で、責任持って、きちんと送り届けますので」
「――え」

 ――……って……二人に送ってもらうという事⁉

 ――……あの家に⁉

 慌てておばあ様を振り返るが、鷹揚に笑みを浮かべている。
「……お、おばあ様」
「では、よろしくお願いしますね」
「承知いたしました」
「お、奥川さん」
 既に決まっていたかのように、奥川さんはうなづく。
 私は、彼を見やるが、口元を上げて返された。

「頑張りなさいな、琴ちゃん」

「……ハ……ハイ……」

 おばあ様に言い返す気力なんて、あるはずも無い。
 私は、うなづくと、先に部屋を出た探偵二人の後について、施設を後にした。


 再び車に乗り込み、いよいよ、自宅方面に向かって進んでいく。
 それにつれ、私は、徐々に動悸が激しくなってきてしまった。
 あの家が――集落が、こんな時間に来たこの二人(よそもの)を歓迎するとは、とても思えない。

 ――嫌な思いをさせてしまう前に、何とかしないと……。

「――えっと、汐見さん、大丈夫?顔色悪くない?」

「酔ったか?」

 奥川さんは、私の返事を待たず、車を田んぼ道の端に止める。
「す、すみません……」
「何か、マズいコトでもあるのかよ、琴子?」
 そう言いながら、助手席から、千谷沢さんがのぞき込んできた。
 私は、その視線に、違う方向で更に動悸が激しくなってしまう。

「いっ、いえ、あのっ……」

 うつむきながら、キツく目を閉じ、緩々と首を振る。

「……だ、大丈夫……です……」

「どこが大丈夫だ。一旦、降りろ」

「え」

 あっさりと否定され、私は顔を上げる。
「そうだね、汐見さん。ちょっと、全員で降りようか」
 奥川さんも、千谷沢さんに賛成のようで、自分のシートベルトを外した。
「で、でも」
「運転手が運転する気が無かったら、キミ、帰れないよ?」
 ニッコリと微笑まれ、私は、言葉に詰まった。

 ――仕方ない。
 ――……きっと、この二人は、理由を聞かなきゃ動いてくれそうにない気がする。

 私は、半ばあきらめながら、シートベルトを外すと、ゆっくりと車を降りた。
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