私の恋を探してください
 お昼ご飯は、勝兄さんと二人で作る。
 それが、この家にいる時のルーティンだ。
 彼は、このくらいの時間には午前の仕事を終え、昼からの準備やいろいろを済ませる。
「琴ちゃん、課題は進んでる?」
「あ、ハイ。……おかげさまで、集中できています」
 お昼のスパゲッティを茹でながら、勝兄さんに尋ねられ、私は、うなづいて返した。
 手元は、サラダ用のキュウリ。
 ――もちろん、ウチで採れたものだ。
 この集落では、野菜と米は、ほとんど自給自足できる。
「――ん、そろそろ良いかな」
 勝兄さんは、パスタの茹で具合を確認すると、ザルを取り出した。
「琴ちゃん、ちょっと離れててね」
「あ、ハ、ハイ」
 ザァ、と、ゆで汁がこぼされ、パスタが湯気を立てる。
 私は、勝兄さんと場所を代わり、包丁を持ち直した。
 今日は、作ってあったナスのミートソースと、トマトとキュウリのサラダ。
 彼は、意外と――なのか、マメに料理をする。
 父親は、男が料理なんて、という人間なので、兄も同じだ。
 男性がキッチンに立つ事自体、ありえないと言い切る。
 なのに、彼は、料理をするのだ。

「琴ちゃん、どうかした?」

「あっ、す、すみません。……いえ、あの、勝兄さんは料理するんですね、って……不思議で……」

 彼は、ニコリ、と、微笑む。

「真人も伯父さんも、男が料理なんて、っていう人種だもんね」

「……は、はあ……」

「――でも、俺はさ、自分が作った野菜とか、どうしたら美味く食べられるかって、研究したくて始めたら、意外とハマっちゃったんだよね」

「――え」

 意外な動機で、申し訳無いが、驚いてしまった。
 ――もう少し、何か含むところがあるかと思ってしまった自分が恥ずかしい。
 けれど、彼は、あっさりと続けた。

「――それに、琴ちゃんの胃袋掴んだら、俺から離れられないかな、って、下心もあるけど」

「――……っ……!」

 前言撤回。
 自分の直感は、信じた方が良いのかもしれない。

 勝兄さんは、上機嫌で皿に料理を盛りつけ、テーブルに並べる。
 私も、フォークなどを揃え、二人で席に着き、手を合わせた。

「「いただきます」」

 発するタイミングも一緒で、少々恥ずかしいが。

 ――そもそも、躾ける人間がほとんど同じなのだから、仕方無い。

 勝兄さんが世間話をして、私が、うなづいて返す。
 食事が終わるまで、ずっと、そんな感じだった。

 それは、今に始まった事では無いのに――


「何か、こうやってると、本当に結婚したみたいだね」


 そう、微笑む勝兄さんに、返す言葉が見つからず――私は、うつむくだけだった。
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