私の恋を探してください
結局、おばあ様は、それからまた普段通りに話し始めた。
――何がきっかけで、昔の事を思い出したのだろうか。
私は、そう思い、やり取りを思い出すけれど……本当に唐突だったから、やっぱり、わからなかった。
すると、部屋のドアがノックされ、勝兄さんが顔を出す。
「ただいま戻りました、おばあ様」
「ああ、ご苦労さんだったね。――琴ちゃん、時間だね」
「――ハイ」
おばあ様は、勝兄さんからお茶っ葉を受け取ると、私に言った。
「琴ちゃん、また、おいで」
「あ、あの……」
「そうですね。また、一緒に来ますよ」
勝兄さんは、私の言葉を遮るように言うと、手を引いて、おばあ様の部屋を出た。
そして、そのまま施設を出ると、エンジンをかけたままの車に乗り込む。
「じゃあ、琴ちゃん、帰ろうか」
私の返事を待たずに、車を発進させると、勝兄さんは少々不機嫌そうに言った。
「――で、結局、おばあ様と何の話があったんだい?」
「え」
内心、ドキリ、と、してしまったけれど、表情に出ていないだろうか。
そんな心配をしつつも、勝兄さんを見やると、彼は、ハンドルを握り前を見たまま続けた。
「どうせ、俺に聞かせられないような話だったんだろう?」
「そ、そういう訳では……」
「じゃあ、何の話してたんだい?」
私は、一瞬だけ口ごもる。
けれど、これで言わないとなると、彼の機嫌は更に悪くなるだろう。
「……む、昔の……おばあ様の話……です……」
「――は?何、それ?」
意外だったのか、勝兄さんは、素で返した。
――大丈夫、ウソは言っていない。
「……私の学生生活からの流れだったんでしょうが……女学校時代の頃のお話をされていました」
ただの、世間話。
そう捉えてもらえるよう、私は、平静を保ちながら伝える。
勝兄さんは、あきれたように肩をすくめて、ブレーキを踏む。目の前は、赤信号だ。
横断歩道を行き交う人達を見やると、彼は、私に視線を向けた。
「何だ。後ろめたいコトでもあったのかと思ったよ」
「――え?」
私の反応をうかがっているのだろう。
――ウソはついていない。
――けれど――本当の事を話してもいないのだ。
勝兄さんに、すべてを話す必要は無いのに――どこかで、罪悪感を覚えてしまう。
それは、もう、刷り込みのようなものなのだろう。
「まあ、良いよ。――帰ったら、夕飯、一緒に作ろうか」
「あ、ハ、ハイ」
彼の機嫌は、ひとまず、悪化はしなかったようだ。
私は、それに胸を撫で下ろし、そして、月曜になったら探偵二人の元を訪れようと、どうにか理由を探すのだった。
――何がきっかけで、昔の事を思い出したのだろうか。
私は、そう思い、やり取りを思い出すけれど……本当に唐突だったから、やっぱり、わからなかった。
すると、部屋のドアがノックされ、勝兄さんが顔を出す。
「ただいま戻りました、おばあ様」
「ああ、ご苦労さんだったね。――琴ちゃん、時間だね」
「――ハイ」
おばあ様は、勝兄さんからお茶っ葉を受け取ると、私に言った。
「琴ちゃん、また、おいで」
「あ、あの……」
「そうですね。また、一緒に来ますよ」
勝兄さんは、私の言葉を遮るように言うと、手を引いて、おばあ様の部屋を出た。
そして、そのまま施設を出ると、エンジンをかけたままの車に乗り込む。
「じゃあ、琴ちゃん、帰ろうか」
私の返事を待たずに、車を発進させると、勝兄さんは少々不機嫌そうに言った。
「――で、結局、おばあ様と何の話があったんだい?」
「え」
内心、ドキリ、と、してしまったけれど、表情に出ていないだろうか。
そんな心配をしつつも、勝兄さんを見やると、彼は、ハンドルを握り前を見たまま続けた。
「どうせ、俺に聞かせられないような話だったんだろう?」
「そ、そういう訳では……」
「じゃあ、何の話してたんだい?」
私は、一瞬だけ口ごもる。
けれど、これで言わないとなると、彼の機嫌は更に悪くなるだろう。
「……む、昔の……おばあ様の話……です……」
「――は?何、それ?」
意外だったのか、勝兄さんは、素で返した。
――大丈夫、ウソは言っていない。
「……私の学生生活からの流れだったんでしょうが……女学校時代の頃のお話をされていました」
ただの、世間話。
そう捉えてもらえるよう、私は、平静を保ちながら伝える。
勝兄さんは、あきれたように肩をすくめて、ブレーキを踏む。目の前は、赤信号だ。
横断歩道を行き交う人達を見やると、彼は、私に視線を向けた。
「何だ。後ろめたいコトでもあったのかと思ったよ」
「――え?」
私の反応をうかがっているのだろう。
――ウソはついていない。
――けれど――本当の事を話してもいないのだ。
勝兄さんに、すべてを話す必要は無いのに――どこかで、罪悪感を覚えてしまう。
それは、もう、刷り込みのようなものなのだろう。
「まあ、良いよ。――帰ったら、夕飯、一緒に作ろうか」
「あ、ハ、ハイ」
彼の機嫌は、ひとまず、悪化はしなかったようだ。
私は、それに胸を撫で下ろし、そして、月曜になったら探偵二人の元を訪れようと、どうにか理由を探すのだった。