私の恋を探してください
千谷沢さんは、持っていたバッグからメモ帳を取り出し、さっと手を動かした。
――お前の婚約者、親父さんと繋がってるんだろ。
――スマホ、覗かれてるかもしれねぇ。
そう返され、言葉を失う。
――そんな。
けれど、昨日の父親の言葉を思い出し、可能性が捨てきれなくなった。
――もし……勝兄さんが、すべて知った上で、行動しているのなら――。
私は、最近の彼の急激な距離の詰め方の理由が、そこにあったのなら、と、納得する。
――だから、アナログの方が、かえって安全。
そう文字を綴ると、千谷沢さんは、私に、その綺麗な顔を寄せてきた。
「――それに、こうしてれば、授業聞いてるように見えるだろ」
「――……っ……!!」
耳元で囁かれ――心臓が爆発しそうだ。
至近距離だと、彼の香りが、鼻腔をくすぐってくる。
――ああ、どうしよう。
――こんな風に距離を詰められたら――勘違いしそうになる。
彼は、私を心配しているだけなのに。
――依頼人だから。
そう、自分に言い聞かせ――そして、胸がキツく締め付けられる。
「琴子?」
「あ、いえ……」
私は、かすかに首を振ると、手元にあったシャープペンを持つ。
そして、ノートの右側の端に、言葉を置いた。
――大丈夫です。
――おばあ様の様子で、少々気になった事があったので、今日、お伺いしようと思っていたところでした。
それを見やると、千谷沢さんの空気が変わる。
――どういう事だ?
――昔の会話を覚えていらしたのか――曖昧ではありましたが、計算がどうの、と、おっしゃってました。
――計算?
――難しい話をご友人とされていたのを、見ていらした時の事のようでした。
私は、書き終えると、チラリ、と、千谷沢さんを見やる。
彼は、私の文字をジッと見つめ、そして、視線を向けた。
――学校でやってた、数学の授業の話か?
――わかりません。
――何せ、おばあ様の独り言のようなものでしたので。
――ただ、とても難しそうだとおっしゃってました。
――自分にもわかれば、お話ができたのだろうか、と。
そう続けると、千谷沢さんは、うなづいて返す。
――わかった。
――颯介とも共有してぇから、今日、事務所に来られるか?
私が、かすかにうなづくと、彼も、うなづいて返す。
――じゃあ、待ってる。
そう書き終えると、千谷沢さんは、顔を上げ、教壇を見やる。
――……あれ……帰らないんだろうか……?
すると、彼は、私を見やり、口元を上げた。
――久し振りに、授業聞きたくなった。
――心理学、嫌いじゃ無かったからな。
私は、目を丸くして、彼を見返した。
――何だか……イメージと違う気がする。
「意外?」
まるで、心の中を見透かされたように囁かれ、私の全身は沸騰し――結果、授業どころではなく、講義後、千谷沢さんに教えを乞う事となってしまったのだった。
――お前の婚約者、親父さんと繋がってるんだろ。
――スマホ、覗かれてるかもしれねぇ。
そう返され、言葉を失う。
――そんな。
けれど、昨日の父親の言葉を思い出し、可能性が捨てきれなくなった。
――もし……勝兄さんが、すべて知った上で、行動しているのなら――。
私は、最近の彼の急激な距離の詰め方の理由が、そこにあったのなら、と、納得する。
――だから、アナログの方が、かえって安全。
そう文字を綴ると、千谷沢さんは、私に、その綺麗な顔を寄せてきた。
「――それに、こうしてれば、授業聞いてるように見えるだろ」
「――……っ……!!」
耳元で囁かれ――心臓が爆発しそうだ。
至近距離だと、彼の香りが、鼻腔をくすぐってくる。
――ああ、どうしよう。
――こんな風に距離を詰められたら――勘違いしそうになる。
彼は、私を心配しているだけなのに。
――依頼人だから。
そう、自分に言い聞かせ――そして、胸がキツく締め付けられる。
「琴子?」
「あ、いえ……」
私は、かすかに首を振ると、手元にあったシャープペンを持つ。
そして、ノートの右側の端に、言葉を置いた。
――大丈夫です。
――おばあ様の様子で、少々気になった事があったので、今日、お伺いしようと思っていたところでした。
それを見やると、千谷沢さんの空気が変わる。
――どういう事だ?
――昔の会話を覚えていらしたのか――曖昧ではありましたが、計算がどうの、と、おっしゃってました。
――計算?
――難しい話をご友人とされていたのを、見ていらした時の事のようでした。
私は、書き終えると、チラリ、と、千谷沢さんを見やる。
彼は、私の文字をジッと見つめ、そして、視線を向けた。
――学校でやってた、数学の授業の話か?
――わかりません。
――何せ、おばあ様の独り言のようなものでしたので。
――ただ、とても難しそうだとおっしゃってました。
――自分にもわかれば、お話ができたのだろうか、と。
そう続けると、千谷沢さんは、うなづいて返す。
――わかった。
――颯介とも共有してぇから、今日、事務所に来られるか?
私が、かすかにうなづくと、彼も、うなづいて返す。
――じゃあ、待ってる。
そう書き終えると、千谷沢さんは、顔を上げ、教壇を見やる。
――……あれ……帰らないんだろうか……?
すると、彼は、私を見やり、口元を上げた。
――久し振りに、授業聞きたくなった。
――心理学、嫌いじゃ無かったからな。
私は、目を丸くして、彼を見返した。
――何だか……イメージと違う気がする。
「意外?」
まるで、心の中を見透かされたように囁かれ、私の全身は沸騰し――結果、授業どころではなく、講義後、千谷沢さんに教えを乞う事となってしまったのだった。