私の恋を探してください
 それから、探偵二人は、更に候補を絞るため、すぐに動いてくれると言ってくれた。
 私は、その言葉に期待をかける。
「じゃあ、また、進展があったら報告するね」
「あ、ありがとうございます……」
 私は、二人に頭を下げ、ようやく思い出した。
「――す、すみません、忘れていました」
 慌ててバッグから、おばあ様から頂いたお菓子を取り出した。
 サッと確認したけれど、割れている感覚は無かったから、大丈夫だろう。
「おい、琴子。何だ、それ?」
 すると、千谷沢さんが、私の手元に視線を向ける。
 ――何だか、お土産を待っている子供のよう。
「あ、えっと……おばあ様が、隣の方から頂いたお菓子だそうで……お二人にも、と」
 そう言って、私は、テーブルの上に袋を差し出した。
「ありがとう」
「サンキュ、琴子」
 二人は、少々興味深そうにそれを見やると、中をのぞく。
「汐見さん、ちょうど良いから、コーヒーおかわりしていく?」
「え、でも――」
 私は、壁にかかっている時計を見やる。
 ――痴漢騒ぎで、時間はギリギリだ。
「乗り換えの駅まで送るよ?」
「え」
「――集落までは行けないでしょ、僕等?」
「――……も、申し訳……」
 思わず頭を下げようとすると、グイ、と、押さえられた。
「千谷沢さん……」
「お前のせいじゃねぇ。気にするな」
 そう言って微笑む彼に、見惚れそうになってしまう。
「――あ、じ、じゃあ……」
「ん。颯介、オレの分も」
「ハイハイ」
 奥川さんは、少々あきれたように千谷沢さんにうなづくと、再び給湯室に入る。
 千谷沢さんは、子供のようにウキウキしながら、お菓子を取り出した。

「――あ」

「え?」

 すると――ほんの一瞬だけ、彼の表情が変わる。

「……千谷沢さん……?」

「ああ、いや。……以前(まえ)に、食った事あったわ、コレ。美味いよな」

「……ハ……ハイ……」

 私は、彼の不自然な態度に違和感を覚えながらも――理由は、尋ねられなかった。


 ――だって……私達は、依頼人と探偵。


 それ以上でも、それ以下でも無いのだから――。
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