私の恋を探してください
「――あ、いえ、特に深い意味は……」
町田先生は、言い訳するように立ち上がると、鳥居教授の脇をすり抜け、逃げるように部屋から出て行った。
それを見やり、教授は、肩をすくめる。
「ゴメンね、汐見さん。どうにも、悪いクセが抜けないようでねぇ」
「……あ、いえ……でも……言わなくても良いのでしょうか……千谷沢さんが、男性だと……」
私が、うかがうように尋ねると、教授はニコニコと返す。
「良いよ、良いよ。面白いし、放っておこう」
「……え」
「彼には、良い薬でしょ。それより、汐見さん、どうかしたのかい?」
教授は、あっさりと話題を変え、私をのぞき込む。
その視線に、背筋を伸ばすと、両手をヒザの上で握り締めた。
「……依頼の進捗状況を、ご報告しようかと――……」
けれど、教授は、眉を下げ首を振った。
「いらないよ。ボクは、彼等を紹介しただけ」
「で、でも」
「――報告なら、すべて終わってからで良いよ。あの二人なら、そう時間はかからないでしょ」
そう言うと、教授は自分のデスクに移動する。
そして、椅子に座り、背もたれに身体を預けた。
「今は、キミのやるべき事をやるだけだよ、汐見さん」
私は、その言葉に、うなづいて返す。
「……承知いたしました」
「いや、だから、営業さんじゃないでしょうに」
鳥居教授は、そう言って笑い、次の授業に行かないとでしょ、と、私を送り出してくれた。
滞りなく授業を終え、私は、いつものように図書館に寄ろうとするが、思い直し、足を止める。
――……今日も伺ったら、ご迷惑だろうか……。
二人にはプレッシャーになるかもしれないけれど、どうにも落ち着かないのだ。
私は、バッグを持っている手に力を込める。
――……それに――……まだ、何の役にも立っていない気がする。
仕事として依頼はしたけれど、自分が何もしないのも気が休まらない。
――自分なりに、おばあ様の事を良く思い出して――そう、千谷沢さんが言っていたように、話す事で何か思い出すかもしれないから。
そんな言い訳のような思いを抱えながら、私は、昨日と同じ電車に飛び込むように乗り込んだ。
町田先生は、言い訳するように立ち上がると、鳥居教授の脇をすり抜け、逃げるように部屋から出て行った。
それを見やり、教授は、肩をすくめる。
「ゴメンね、汐見さん。どうにも、悪いクセが抜けないようでねぇ」
「……あ、いえ……でも……言わなくても良いのでしょうか……千谷沢さんが、男性だと……」
私が、うかがうように尋ねると、教授はニコニコと返す。
「良いよ、良いよ。面白いし、放っておこう」
「……え」
「彼には、良い薬でしょ。それより、汐見さん、どうかしたのかい?」
教授は、あっさりと話題を変え、私をのぞき込む。
その視線に、背筋を伸ばすと、両手をヒザの上で握り締めた。
「……依頼の進捗状況を、ご報告しようかと――……」
けれど、教授は、眉を下げ首を振った。
「いらないよ。ボクは、彼等を紹介しただけ」
「で、でも」
「――報告なら、すべて終わってからで良いよ。あの二人なら、そう時間はかからないでしょ」
そう言うと、教授は自分のデスクに移動する。
そして、椅子に座り、背もたれに身体を預けた。
「今は、キミのやるべき事をやるだけだよ、汐見さん」
私は、その言葉に、うなづいて返す。
「……承知いたしました」
「いや、だから、営業さんじゃないでしょうに」
鳥居教授は、そう言って笑い、次の授業に行かないとでしょ、と、私を送り出してくれた。
滞りなく授業を終え、私は、いつものように図書館に寄ろうとするが、思い直し、足を止める。
――……今日も伺ったら、ご迷惑だろうか……。
二人にはプレッシャーになるかもしれないけれど、どうにも落ち着かないのだ。
私は、バッグを持っている手に力を込める。
――……それに――……まだ、何の役にも立っていない気がする。
仕事として依頼はしたけれど、自分が何もしないのも気が休まらない。
――自分なりに、おばあ様の事を良く思い出して――そう、千谷沢さんが言っていたように、話す事で何か思い出すかもしれないから。
そんな言い訳のような思いを抱えながら、私は、昨日と同じ電車に飛び込むように乗り込んだ。