私の恋を探してください
隣に陣取った千谷沢さんからは、先日嗅いだような香りがして、私は、少々肩を上げる。
けれど、それを気取られないように姿勢をただすと、できる限り、記憶の中のおばあ様との会話を思い出す。
「――ええっと……お、おばあ様は、両親の代わりに、私の面倒をずっと見ていてくれて、幼い私にいろいろと教えてくれました――」
たどたどしくはあったけれど、二人は、真剣に私の言葉に耳を傾けてくれた。
そして、千谷沢さんの言った通り、話しているうちに、懐かしい思い出が私の脳裏によみがえってきた。
――昔から、おばあ様と一緒に、蔵に置いてあった本を読むのが好きだった事。
――生活にかかわる事は、ほとんど、おばあ様が教えてくれた事。
――私が、小学生の頃、おばあ様が蔵の整理をしていた時に転んでしまい、それ以降、急激に身体が弱り始めた事。
――両親は、すぐに、追い払うように、おばあ様を施設に入れてしまった事。
――徐々に、おばあ様は施設と病院を行ったり来たりするようになり、この前は、一時、危ないところだった事。
「――……ですので……お二人にお会いした時のおばあ様は、本当に調子が良かったんです」
「……そっか。――……おばあ様、体調に結構波があるのかな?」
奥川さんに、そう尋ねられ、私は少し思案する。
「どうでしょう――……。私がお伺いした時は、ベッドに横になったままの時もありましたし、先日のように、散歩する時もありました」
「じゃあ……汐見さんと話す時のおばあ様に、何か、違和感はある?」
「え?」
私は、質問の意味がわからず、奥川さんを見やる。
すると、彼は、少々気まずそうに言った。
「――失礼だとは思うけれど……年齢も年齢だし、万が一、認知症の気配があるようなら、と、思ったんだ」
「――え」
その言葉に、私は、視線を下げる。
「颯介、さすがに、あのカンジなら大丈夫じゃねぇの?」
千谷沢さんは、眉を寄せながら、奥川さんに言う。
けれど、彼は、ゆっくりと首を振った。
「外見からじゃわからないよ。――まして、僕等は、会ったばかりだし。だから、汐見さんが、何か感じた事があればと思ったんだ」
「……も……申し訳ありません。……特には……」
私が頭を下げようとすると、隣から、頭を小突かれた。
「――ち、千谷沢さん」
「別に、謝る必要は無ぇだろ。颯介は、そういう可能性があるって言ってるだけだ」
「あ、ハ、ハイ……」
私がうなづくと、千谷沢さんは、奥川さんの手元を見やった。
「それより、颯介。オレにもコーヒー」
「……ラテアート無しで良いよね」
その返しに、私は、思わず、口元を上げた。
けれど、それを気取られないように姿勢をただすと、できる限り、記憶の中のおばあ様との会話を思い出す。
「――ええっと……お、おばあ様は、両親の代わりに、私の面倒をずっと見ていてくれて、幼い私にいろいろと教えてくれました――」
たどたどしくはあったけれど、二人は、真剣に私の言葉に耳を傾けてくれた。
そして、千谷沢さんの言った通り、話しているうちに、懐かしい思い出が私の脳裏によみがえってきた。
――昔から、おばあ様と一緒に、蔵に置いてあった本を読むのが好きだった事。
――生活にかかわる事は、ほとんど、おばあ様が教えてくれた事。
――私が、小学生の頃、おばあ様が蔵の整理をしていた時に転んでしまい、それ以降、急激に身体が弱り始めた事。
――両親は、すぐに、追い払うように、おばあ様を施設に入れてしまった事。
――徐々に、おばあ様は施設と病院を行ったり来たりするようになり、この前は、一時、危ないところだった事。
「――……ですので……お二人にお会いした時のおばあ様は、本当に調子が良かったんです」
「……そっか。――……おばあ様、体調に結構波があるのかな?」
奥川さんに、そう尋ねられ、私は少し思案する。
「どうでしょう――……。私がお伺いした時は、ベッドに横になったままの時もありましたし、先日のように、散歩する時もありました」
「じゃあ……汐見さんと話す時のおばあ様に、何か、違和感はある?」
「え?」
私は、質問の意味がわからず、奥川さんを見やる。
すると、彼は、少々気まずそうに言った。
「――失礼だとは思うけれど……年齢も年齢だし、万が一、認知症の気配があるようなら、と、思ったんだ」
「――え」
その言葉に、私は、視線を下げる。
「颯介、さすがに、あのカンジなら大丈夫じゃねぇの?」
千谷沢さんは、眉を寄せながら、奥川さんに言う。
けれど、彼は、ゆっくりと首を振った。
「外見からじゃわからないよ。――まして、僕等は、会ったばかりだし。だから、汐見さんが、何か感じた事があればと思ったんだ」
「……も……申し訳ありません。……特には……」
私が頭を下げようとすると、隣から、頭を小突かれた。
「――ち、千谷沢さん」
「別に、謝る必要は無ぇだろ。颯介は、そういう可能性があるって言ってるだけだ」
「あ、ハ、ハイ……」
私がうなづくと、千谷沢さんは、奥川さんの手元を見やった。
「それより、颯介。オレにもコーヒー」
「……ラテアート無しで良いよね」
その返しに、私は、思わず、口元を上げた。