私の恋を探してください
 暗闇の中、ポツポツと等間隔で置かれている街灯の明かりだけが、道路を照らす。
 勝兄さんの車に乗せてもらい、私は、いつもおばあ様が入院している病院に向かった。

「――琴ちゃん、後でどうなっても知らないよ?」

「構いません。――勘当されるなら、それでも――」

 私の意志が固いのを感じた彼は、これ見よがしにため息をついた。
「……それじゃあ、俺の立場が無いよ」
「すみません、勝兄さん。けれど――これだけは、譲れないので」
「……まあ、琴ちゃんに恨まれるのは、ごめんだからさ」
「――……すみません……」
「でも、本当にちょっと様子をうかがうだけだからね」
「……ハイ」
 半ば、脅すように連れてきてもらった手前、あまりわがままは言えないのは、わかっている。
 私と勝兄さんは、病院に到着すると、早足で時間外受付に向かったが――。

「――え?」

「ですから、緊急入院してこられた患者様で、汐見様とおっしゃる方は、いらっしゃいません」

 けれど、担当の男性に淡々と告げられ、私は、頭の中が停止してしまった。

「――え、で、でも……」

 施設からの入院は、いつもここだったはず。
 すると、勝兄さんが、私の肩に手を置いた。
「琴ちゃん。もしかしたら、入院先、変えられたのかもしれないよ」
「――え」
 呆然としている私の手を引くと、勝兄さんは、受付の男性に頭を下げ、病院の駐車場に戻った。
 そして、助手席に私を乗せると、自分も運転席に乗る。
「……勝兄さん、病院を変えるって、どういう事ですか……」
 私が尋ねると、彼は、肩をすくめた。
「もしかしたら、琴ちゃんがこうなると予想して、伯父さんか、真人(まさと)が手を回したかもしれない、ってコト」
「――そんな……」

 ――……じゃあ……私は、もう、おばあ様に会えないという事……?

 そう認識した瞬間、涙がボロボロと零れてきた。

「こ、琴ちゃん」

 さすがに慌てた勝兄さんは、私の肩に手を置くと、のぞき込んできた。

「――だ、大丈夫だよ、きっと。……今日は、もう、遅いから、明日、伯父さんに聞いてみよう?」

「でも……父さんが、教えるはずがありません……」

「じ、じゃあ、俺が真人に聞いてみるから」

「え」

 涙目のまま、勝兄さんを見上げると、彼は、私の頬を伝う涙を指で拭った。

「俺だって、琴ちゃんがこんな顔するのは嫌だしね。――……だから、今日は、もう、帰ろう?」

 私は、彼を見上げ、コクリ、と、うなづく。

 彼は、優しく私の頭を撫でると、車を発進させた。
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