私の恋を探してください
翌朝、静かな家の中で、一人、朝食を食べながら、私は、頭を悩ませていた。
――勝兄さんは、ああ言ってくれたけれど――……兄さんも、素直に教えてくれるか、わからないのだ。
食器を片づけ、お昼用のおにぎりを握ると、バッグに入れる。
そして、支度を終え、玄関を出ると、バス停へと歩き始めた。
その間も、頭の中は、おばあ様の事だけだ。
――図らずも、昨日、奥川さんに覚悟がいるような事を言われたばかりだったから……最悪な状況しか思い浮かばなくなってしまったのだ。
私は、頭を軽く振ると、足を進める。
バス停に到着すると、すぐに始発のバスがやって来たので、それに乗り込んだ。
いつもの運転手さんに挨拶をすると、駅までの数十分、スマホと睨み合い続ける。
――この状況は……あの二人に伝えた方が良いとは思うけれど……。
おばあ様の入院先がわからない以上、初恋の人が見つかったとして、どうやって会わせたら良いのだろうか。
私は、ため息をつくと、バッグにスマホを片づける。
そして、窓の外を見やると、浮かんできた涙をこらえるように、唇を噛みしめ続けた。
大学での授業も、半分は上の空。
さすがに、昨夜の今では、集中できるはずもない。
私は、沈んだまま、手元のノートを片づける。
すると、不意に、一昨日、千谷沢さんと会話したメモ帳がバッグから落ちてきたので、急いで拾った。
――意外と綺麗な字。
彼と”会話”を終えた時、何となく思った。
いつもの、豪快で大ざっぱな言動からは、あまり想像がつかないほどの、整った字。
私は、無意識に口元を上げた。
――何かあったら、連絡。
そう、最後に書かれた文字。
私は、それを見やり、バッグからスマホを取り出すと、足早に教室を出たのだった。
人気の無い場所というものは、なかなか見つからず、私は、仕方なく鳥居教授の研究室をノックした。
「おや、汐見さん。最近良く来るねぇ」
「も、申し訳ありません。……少し……で、電話をさせていただいても、よろしいでしょうか……?」
「――ん?」
さすがに、この申し出に、教授も目を丸くする。
「電話?――ボク、いてもいいもの?」
「あ、えっと……ハイ」
そして、私の態度に違和感を持ったのか、そう尋ねてきたので、一瞬考えたがうなづいた。
部屋の主を追い出してまで電話をしようというのなら、それは、最初から大学の外に出れば良いのだ。
けれど、できれば、一刻も早く、彼等に連絡を取りたいのだ。
私は、部屋の隅で、教授に背を向けながら、探偵事務所の電話番号を押した。
――勝兄さんは、ああ言ってくれたけれど――……兄さんも、素直に教えてくれるか、わからないのだ。
食器を片づけ、お昼用のおにぎりを握ると、バッグに入れる。
そして、支度を終え、玄関を出ると、バス停へと歩き始めた。
その間も、頭の中は、おばあ様の事だけだ。
――図らずも、昨日、奥川さんに覚悟がいるような事を言われたばかりだったから……最悪な状況しか思い浮かばなくなってしまったのだ。
私は、頭を軽く振ると、足を進める。
バス停に到着すると、すぐに始発のバスがやって来たので、それに乗り込んだ。
いつもの運転手さんに挨拶をすると、駅までの数十分、スマホと睨み合い続ける。
――この状況は……あの二人に伝えた方が良いとは思うけれど……。
おばあ様の入院先がわからない以上、初恋の人が見つかったとして、どうやって会わせたら良いのだろうか。
私は、ため息をつくと、バッグにスマホを片づける。
そして、窓の外を見やると、浮かんできた涙をこらえるように、唇を噛みしめ続けた。
大学での授業も、半分は上の空。
さすがに、昨夜の今では、集中できるはずもない。
私は、沈んだまま、手元のノートを片づける。
すると、不意に、一昨日、千谷沢さんと会話したメモ帳がバッグから落ちてきたので、急いで拾った。
――意外と綺麗な字。
彼と”会話”を終えた時、何となく思った。
いつもの、豪快で大ざっぱな言動からは、あまり想像がつかないほどの、整った字。
私は、無意識に口元を上げた。
――何かあったら、連絡。
そう、最後に書かれた文字。
私は、それを見やり、バッグからスマホを取り出すと、足早に教室を出たのだった。
人気の無い場所というものは、なかなか見つからず、私は、仕方なく鳥居教授の研究室をノックした。
「おや、汐見さん。最近良く来るねぇ」
「も、申し訳ありません。……少し……で、電話をさせていただいても、よろしいでしょうか……?」
「――ん?」
さすがに、この申し出に、教授も目を丸くする。
「電話?――ボク、いてもいいもの?」
「あ、えっと……ハイ」
そして、私の態度に違和感を持ったのか、そう尋ねてきたので、一瞬考えたがうなづいた。
部屋の主を追い出してまで電話をしようというのなら、それは、最初から大学の外に出れば良いのだ。
けれど、できれば、一刻も早く、彼等に連絡を取りたいのだ。
私は、部屋の隅で、教授に背を向けながら、探偵事務所の電話番号を押した。