私の恋を探してください
14.それでも、引き下がる訳にはいかない
 今日の授業を終えると、私は、早足で大学を出て駅に向かう。

 ――とにかく、今は、おばあ様の入院先を見つけなければ。

 駅のホームに駆け込み、ちょうどやってきた電車に乗り込むと、大きく深呼吸。
 そして、徐々に込み合ってきた車両の中を見回した。

 ――さすがに――三回連続で痴漢は……無い……よね……。

 私は、できる限り身を縮こませ、探偵事務所の最寄り駅まで向かい、無事に到着すると、足早に改札口を出て、すぐに走り出した。
 すれ違っていくサラリーマンや学生達が、いぶかしげに私を避ける。
 だが、構っている場合ではないのだ。
 息を切らしながら、到着した探偵事務所のビルの階段を上ると、私は、呼吸を整え、ドアをノックした。
 すると、勢いよく中から開けられ、思わず、一歩下がってしまった。

「琴子!颯介から聞いたぞ!」

「――ちっ……千谷沢さん」

 彼は、今日は男性の姿で――相変わらずの美貌。
 思わず見惚れてしまいそうになってしまったが、目的を思い出し、私は口元を引いた。

「突然で申し訳ありません。事情が事情だったもので……」

「ンなの良いんだよ!とにかく、ばあ様の入院先を探せば良いんだよな⁉」

「――ハ、ハイ」

 私がうなづくと、給湯室から、奥川さんがカップをトレイに乗せて持ってきた。

「汐見さん、とにかく落ち着いて。一旦、座ろうか」

「あ、ありがとうございます……ですが……」

「あせったって、良い事無いよ?まずは、状況を整理しよう」

 奥川さんの言う事も、もっともだと思い、私は、うながされるままソファに腰を下ろした。
 彼は、全員分のカップをテーブルに置くと、私の向かい側に座る。
 けれど、千谷沢さんだけは、血相を変えて奥川さんに食ってかかった。
「おい、颯介、のんびりしてる場合じゃねぇだろ!まず、琴子のばあ様の施設でも行って……」
「何の策も無く乗り込んでどうするの、千谷」
「――……っ……」
 奥川さんにバッサリと切り捨てられ、千谷沢さんは言葉を飲み込んだ。
「け、けどよ……」
「頭に血が上ったままじゃ、見つかるものも見つからないよ。ホラ、千谷も座る」
「……わ、わかった」
 千谷沢さんは、渋々うなづくと、そのまま奥川さんの隣に腰を下ろした。

 ――まるで、猛獣使い。

 思わず、そんな言葉が頭をよぎり、私は、慌てて振り払う。

 ――けれど、正反対の彼等は、案外、これでバランスが取れているのだろうか。

 奥川さんは、平然と私を見やると、落ち着かせるように微笑んだ。

「千谷は気にしないで、汐見さん。まずは、事情をもう一度聞かせてくれるかな?」

 私は、表情を引き締めると、先ほどの話を、もう一度彼等に伝えたのだった。
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