私の恋を探してください
 それから三十分後。
 私は、探偵二人と車に乗り込み、N大学病院の受付にやってきた。
 先ほど、勝兄さんから、おばあ様が入院している病院がわかった、と、連絡が来たのだ。

 ――ちょっと、伯父さんと真人(まさと)を飲ませてね。

 ――二人とも、酔っ払うと気が大きくなって、口も軽くなるからさ。

 けれど、勝兄さん自身も、付き合いで飲まない訳にはいかなかったので、とりあえずは私に連絡を、と、電話をくれたのだった。


「――あの婚約者、マジで琴子に惚れてるのな」


「――え」


 面会者カードに記入していると、不意に、後方から千谷沢さんに言われ、私は振り返った。

 彼は、何故か――いつもの、女装姿だ。

「あ、えっと……」

 けれど、それよりも、彼の言った言葉の方が飲みめずに、私は、眉を下げる。

「だってよ、お前のために、わざわざ探ってくれたんだろ」

「……ハイ……」

 それは――確かに、感謝はしている。
 まさか、勝兄さんが、そこまでしてくれるとは思わなかったので、驚きの方が大きかったが。

「じゃあ、琴子。胸張って行けよ。オドオドしてたら、怪しまれるからな」

「あ、ハ、ハイ」

 千谷沢さんは、そう言って、私の背中を軽く叩いた。
 私は、うなづいて返すと、少々緊張しながら、エレベーターに乗り込む。
 面会者カードは、病棟のスタッフステーションに出す決まりらしい。
 六階の内科病棟には数十秒で到着し、私は、看護師の方達が慌ただしく行き来している中、恐る恐る声をかけた。

「あ、あの……すみません、面会に……」

「ハイハイ。カードは書かれましたね。では――」

 けれど、看護師の女性は私の名前を見て、顔を上げた。

「――申し訳ございません。汐見富美子様は、現在、面会をご遠慮いただいております」

「――……え?」

 私は、慌てて彼女に言った。

「あ、あの、私、孫で……っ……」

 言いながら、まさか、ここにまで父親の力が及んでいるのかと危惧する。

 ――それでも、引き下がる訳にはいかない。

「いえ、どなた様にも、ご遠慮いただいております。現状、面会できる状態ではない、と、医師からの指示ですので」

「――……え?」

 私は、一瞬、何を言われているのか、わからなかった。


 ――……面会できない、ではなくて――……”できる状態ではない”……?


 ――それは――つまり――……。


 呆然としている私に、彼女は、眉を下げ、続けた。


「ご理解のほど、お願いいたします」

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