私の恋を探してください
15.好きにしたら良いからね
どんどんと荒れる天候を、病院の風防室から見つめ、私は頭を悩ませる。
――このまま帰るにしても――探偵二人に、この天気の中、集落まで送ってもらうような事はさせたくない。
――途中、山崩れがあったなんて言ったら大事だし。
――だからと言って、勝兄さんに飲酒運転をさせるなど、もってのほかだ。
――なら、どこか、ビジネスホテルというものに泊まる他、無いだろう。
私は、顔を上げ、二人を見やる。
「あ、あの……この辺で、ビジネスホテルのようなものは……」
すると、奥川さんは、スマホを取り出し、うなづいた。
「駅前になら、数軒あるけど――この天気だし、一旦、問い合わせてみようか」
「お、お願いします」
私が、うなづいて返すと、彼は、すぐにホテルに電話をかけ始めた。
短いやり取りを数回繰り返しては、また、かけ直す。
それを五回ほど繰り返した。
「……汐見さん、手持ちって大丈夫かな」
「え?」
「……ビジネスホテル、この天気で、目ぼしい所は全部満室だって」
「――え」
「後は、少し高めのホテルか、もう何駅か離れたところか――」
私は、自分の財布の中身を思い出し、そして、周囲を見渡して眉を下げた。
相変わらず、雨は止みそうな気配も無い。
そして、もう、面会時間も終了するような時間だから、辺りは真っ暗になっていて、申し訳程度についている駐車場用の照明の下方だけが、うっすらと明るい。
「あ、あの、民宿のような場所は……」
その質問に、奥川さんは気まずそうに肩をすくめた。
「この辺、もう、そういう昔ながらのところって、ほとんど消えてるんだよね。残ってるのは、かなり歴史のある高級旅館くらい」
「……そ……そう、ですか……」
完全に手詰まり。
――いっそ、駅の待合室にでも。
そう考えていると、千谷沢さんが、思いついたように言った。
「なら、ウチの事務所に泊れば良いんじゃねぇの?」
「――え」
「……千谷」
あきれたように睨む奥川さんに、千谷沢さんは、あっさりと返す。
「だってよ、今から探して、向かって――って、どれだけかかるよ。事務所なら、最低限は揃ってるし、駅もそう遠くねぇ」
「千谷」
何とか反論しようとする奥川さんを遮るように、私は声を上げた。
「あっ……あのっ……!――ご、ご迷惑でなければ……お願いできますでしょうか」
「汐見さん」
「この状況で、時間も時間ですし――これ以上留まる訳にもいきませんので……」
奥川さんは、困ったような表情を見せるが、千谷沢さんは、速攻、うなづいた。
「じゃあ、必要なものだけ、コンビニで調達して――」
「千谷!」
「颯介、琴子の言うとおり、これ以上病院でゴタゴタする訳にもいかねぇだろ」
「――……そ、そうだけど……ホラ、セキュリティ面でさ」
珍しく千谷沢さんに押され、奥川さんは、けれど、口ごもりながらも続ける。
「若い女性が泊まるようなところじゃないでしょ、あそこは」
「なら、オレ等も一緒にいれば良いじゃん」
「――は?」
「べつに、やましいコト無ぇんだし、ボディガードってコトで」
良いアイディアを思いついたかのように、千谷沢さんは、そう主張する。
――が。
「――千谷、ふざけてんの、お前?」
「……あ、いや……別に……そういうワケじゃ……」
奥川さんのひと睨みで、彼は、思い切りしおれてしまった。
――このまま帰るにしても――探偵二人に、この天気の中、集落まで送ってもらうような事はさせたくない。
――途中、山崩れがあったなんて言ったら大事だし。
――だからと言って、勝兄さんに飲酒運転をさせるなど、もってのほかだ。
――なら、どこか、ビジネスホテルというものに泊まる他、無いだろう。
私は、顔を上げ、二人を見やる。
「あ、あの……この辺で、ビジネスホテルのようなものは……」
すると、奥川さんは、スマホを取り出し、うなづいた。
「駅前になら、数軒あるけど――この天気だし、一旦、問い合わせてみようか」
「お、お願いします」
私が、うなづいて返すと、彼は、すぐにホテルに電話をかけ始めた。
短いやり取りを数回繰り返しては、また、かけ直す。
それを五回ほど繰り返した。
「……汐見さん、手持ちって大丈夫かな」
「え?」
「……ビジネスホテル、この天気で、目ぼしい所は全部満室だって」
「――え」
「後は、少し高めのホテルか、もう何駅か離れたところか――」
私は、自分の財布の中身を思い出し、そして、周囲を見渡して眉を下げた。
相変わらず、雨は止みそうな気配も無い。
そして、もう、面会時間も終了するような時間だから、辺りは真っ暗になっていて、申し訳程度についている駐車場用の照明の下方だけが、うっすらと明るい。
「あ、あの、民宿のような場所は……」
その質問に、奥川さんは気まずそうに肩をすくめた。
「この辺、もう、そういう昔ながらのところって、ほとんど消えてるんだよね。残ってるのは、かなり歴史のある高級旅館くらい」
「……そ……そう、ですか……」
完全に手詰まり。
――いっそ、駅の待合室にでも。
そう考えていると、千谷沢さんが、思いついたように言った。
「なら、ウチの事務所に泊れば良いんじゃねぇの?」
「――え」
「……千谷」
あきれたように睨む奥川さんに、千谷沢さんは、あっさりと返す。
「だってよ、今から探して、向かって――って、どれだけかかるよ。事務所なら、最低限は揃ってるし、駅もそう遠くねぇ」
「千谷」
何とか反論しようとする奥川さんを遮るように、私は声を上げた。
「あっ……あのっ……!――ご、ご迷惑でなければ……お願いできますでしょうか」
「汐見さん」
「この状況で、時間も時間ですし――これ以上留まる訳にもいきませんので……」
奥川さんは、困ったような表情を見せるが、千谷沢さんは、速攻、うなづいた。
「じゃあ、必要なものだけ、コンビニで調達して――」
「千谷!」
「颯介、琴子の言うとおり、これ以上病院でゴタゴタする訳にもいかねぇだろ」
「――……そ、そうだけど……ホラ、セキュリティ面でさ」
珍しく千谷沢さんに押され、奥川さんは、けれど、口ごもりながらも続ける。
「若い女性が泊まるようなところじゃないでしょ、あそこは」
「なら、オレ等も一緒にいれば良いじゃん」
「――は?」
「べつに、やましいコト無ぇんだし、ボディガードってコトで」
良いアイディアを思いついたかのように、千谷沢さんは、そう主張する。
――が。
「――千谷、ふざけてんの、お前?」
「……あ、いや……別に……そういうワケじゃ……」
奥川さんのひと睨みで、彼は、思い切りしおれてしまった。