私の恋を探してください
 午前中の授業も終え、私は、広い中庭で、チマチマとおにぎりを口にする。
 アルバイトもできないから、限られたお小遣いはできるだけ取っておきたい。
 なので、いつも、家のご飯でおにぎりを一つだけ作って持って来て、後は、水筒のお茶だけ。
 学食など――興味はあるが、足を踏み入れた事も無い。

 すると、不意に、スマホが数回振動した。

 私は、おにぎりをすべて流し込むと、急いで手に取る。


 ――進捗報告です。


 それは――昨日のC・O(シー・オー)探偵事務所からだ。

 急いでメールを開けば、おばあ様が通っていた女学校と、隣の男子校が確定されて、その当時の同級生の人達で、N市に在住の方達に話を聞いて回っているそうだ。

 私は、目を丸くする。

 ――昨日の今日で、もう?

 確かに――鳥居教授が言う通り――あの二人に任せておけば、大丈夫、という気がしてきた。

 ――これなら、すぐに、おばあ様に会わせてあげられるかもしれない。

 私は、彼等に、よろしくお願いいたします、と、返し、スマホを片づけた。



 けれど、待てど暮らせど、それ以降連絡は無く、早一週間が経過してしまった。
 こちらから連絡を入れるというのは、急かしているようで気が引ける――けれど。
 私は、今日の授業が終わり次第、電話しようと考えた。

 ――進展が無くても、どんな状況かくらいは知りたい。

 それに――無理そうなら、他の探偵を雇う事も視野に入れなければ。

 他人に聞かれたくはないので、電話するのは人気(ひとけ)の無いところが都合が良い。
 そう思い、授業を終えると、私は、大学の裏手にある旧講堂の方へ向かう。
 そこは、五年前に新しくできた講堂の前に、使われていたところ。
 けれど、老朽化と、大学のかなり奥まったところにあって利用しづらいという理由で、今は、もう、取り壊されるのを待つだけの場所だ。
 私は、周囲を見回し、焦りながらも電話をかけた。

 ――けれど。

「……繋がらない……」

 もう一度、と、かけてはみたが、同じようなアナウンスが流れてくるばかりだ。

 ――……まさか、やっぱりダメだから、途中で投げ出された?

 ――……鳥居教授のように、任せておけば大丈夫、と、思えるほど、私は、あの人達を知っていないのだ。

 私は、肩を落としながら、図書館で勉強して帰ろうと思い、踵を返した。
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