女神イリオネスと、九ヶ月の飴玉
 逃げるように雲を渡っていたイリオネスは、宮殿の裏手にある、静かな庭園の陰にアフディーの姿を見つけました。

「いた……っ」

 どこまでも広がる、天界のお花畑の中。

 色とりどりの花々に埋もれるようにして、しゃがみこみ話し合う彼女たちの後ろ姿が見えました。   

 周りには、いつもの忠実な? 三匹の召喚獣たちが集まり、広い花畑の真ん中だというのに、何やらただならぬ雰囲気で、密談を繰り広げています。

(あんなに開放的な場所で、どうしてあんなに縮こまってコソコソしているのでしょう……?)

 不思議に思いながらも視線を凝らすと、アフディーがかつてないほど真剣な顔で、召喚獣たちに指図を飛ばしていました。

「……いい? それでこれを使うの。それとこのことは、イリオネスには絶意、内緒なんだからね」

『食いしん坊のうさぎ』は、背後から『情熱的な青い鳥』の耳をギュッと塞いでいました。

 極秘事項だと考え、おしゃべりな『青い鳥』には、これが最善な方法だと考えた物です。

 耳を塞がれた彼は、「何のことやら」と言いたげに澄ました顔で、遠くの一点を見つめています。

『さよならを告げるカタツムリ』は、アフディーの言葉を一言も漏らさぬように見つめ『うん、うん』と、言葉の合間に頷いていました。

 そんな彼女らの会話に、イリオネスが音もなく近づきます。
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