女神イリオネスと、九ヶ月の飴玉
イリオネスは精一杯の微笑みを作りました。
けれど、その頬はひきつり、瞳の奥は悲しみで揺れています。
渡そうと思っていた飴玉は、ポケットの奥深くへ、誰にも見つからないように隠しました。
「使いから戻った報告に伺っただけです。……お忙しいようですので、失礼いたします」
そう言って、彼女は一礼しました。
「えっ、ちょっと待ちなさいよ!」
アフディーの声を背中に受けながら、イリオネスは逃げるようにその場を去ります。
『このまま。行かせてはダメ』だと、アフディーは手を伸ばしましたが、そんなアフディーを遮るように、目の前には、アプロンの馬車が現れます。
「なあ、アフディー。竪琴はやっぱり……」
のほほんと笑顔で、現れたアプロンは、アフディーの腕を『がっちり』とつかみ離しませんでした。 アフディーは『今はそれどころではないっ』と、押しのけようとしましたが、遠ざかるイリオネスの背中を見つめることしかできませんでした。
アポロンの肩越しに、遠ざかるイリオネスの小さな背中が見えます。
「ああっ、お兄。タイミングが悪すぎ」
アフディーの絶叫も虚しく、イリオネスは黄金の翼を広げると、天界の雲の向こうへと消えていきました。
けれど、その頬はひきつり、瞳の奥は悲しみで揺れています。
渡そうと思っていた飴玉は、ポケットの奥深くへ、誰にも見つからないように隠しました。
「使いから戻った報告に伺っただけです。……お忙しいようですので、失礼いたします」
そう言って、彼女は一礼しました。
「えっ、ちょっと待ちなさいよ!」
アフディーの声を背中に受けながら、イリオネスは逃げるようにその場を去ります。
『このまま。行かせてはダメ』だと、アフディーは手を伸ばしましたが、そんなアフディーを遮るように、目の前には、アプロンの馬車が現れます。
「なあ、アフディー。竪琴はやっぱり……」
のほほんと笑顔で、現れたアプロンは、アフディーの腕を『がっちり』とつかみ離しませんでした。 アフディーは『今はそれどころではないっ』と、押しのけようとしましたが、遠ざかるイリオネスの背中を見つめることしかできませんでした。
アポロンの肩越しに、遠ざかるイリオネスの小さな背中が見えます。
「ああっ、お兄。タイミングが悪すぎ」
アフディーの絶叫も虚しく、イリオネスは黄金の翼を広げると、天界の雲の向こうへと消えていきました。