女神イリオネスと、九ヶ月の飴玉
 驚きに目を見開くイリオネスの前で、アフディーは隠し持っていた『ピアニカ』を振りかざしました。

「さあ、ミュージック・スタートじゃ!」

 アフディーが一生懸命にピアニカを吹き鳴らすと、『情熱的な青い鳥』がリズムに合わせてトライアングルを「チーン!」と高く鳴らします。

『食いしん坊のうさぎ』も夢中でカスタネットを「カチカチッ!」と叩き始めました。

「これはいったい……」

 呆然と立ち尽くすイリオネスの隣で、アルテロスが腕を組み、事の真相を語り始めました。

「お前と出会ってからの一周年祝いだとさ。アイツ、あろうことかアプロンの『リラ』を持ち出して演奏したいと言い出してな。挙句に、私の『銀の矢の羽』をこっそり持ち出して、その下手な演奏を魔法で誤魔化そうとしてやがったんだ」

 イリオネスは合点がいきました。

 あの時のアルテロスの険しい表情は、自分を睨んでいたのではなく、至宝を持ち出した不届きな妹(アフディー)を探していただけだったのだ、と。
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