女神イリオネスと、九ヶ月の飴玉
 アルテロスはサングラスを指先でクイッと上げると、眼下の妹たちへ、清々しく片手を掲げました。

「じゃあな、不器用な妹ども。……精々、仲良くやるんだな」

 アプロンも黄金の雲から身を乗り出しました。

 彼はふっと目を閉じ、うっとりとしたすまし顔です。自らを抱くようなポーズでキメると、誇らしげに声をかけます。

「僕たちはこれから、世界に生命の暖かさと、安らぎの光を与えに行くよ。……また何かあったら、いつでも呼んでおくれ。それまで僕の美しさは、お預けかな」

 そう彼は告げると、二本の指を美しく重ね、額の辺りで前方へと差し出しました。

 二人は空の上で視線を交わし合うと、今日という特別な日を笑顔で確認します。

 改めて意識し合うように輝かせる黄金と銀の光が混ざり合った中心は、この世の中で新たな生命の誕生を思わせる、眩い光を輝かせます。

 そして互いの光の道筋を描きながら、世界の片隅へと鮮やかに飛び去っていきました。

「……行ってしまいましたね」

 イリオネスは、夜空に残された二つの光の道筋をいつまでも見つめていました。
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